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Jリーグ 10年前

基本は優勝より残留!? 夏の大型移籍に象徴されるJクラブの悲しいリアリズム

text by 大島和人 photo by Getty Images , Asuka Kudo / Football Channel

まさに残留至上主義

 さらに言うと、J1はどこも身の丈を意識した保守的な経営で、損得抜きで勝利を追求する“石油王”的なオーナーが少ない。三木谷浩史氏、稲盛和夫氏といった立志伝中の富豪がJクラブの経営に関与しているが、お金の使い方は良くも悪くも上品。お二人の志もあるだろうが、成金的なものを嫌い、足を引っ張る日本社会の風潮も大きい。

 勝ちたくない、負けたくない――。

 経営のことを考えると優勝はリスクですらある。だから突出を嫌い、優勝は強く望まない。でもJ2降格というピンチには“親子“で必死に立ち向かう。勝利至上主義ならぬ“残留至上主義”が、この夏の大補強から見て取れるジャパニーズスタイルのクラブ経営だ。

【了】

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