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Jリーグ 10年前

選手の成長と激しいポジション争いでチーム力が向上した鹿島。主力3人欠くFC東京戦は、真価が問われる一戦に

text by 青木務 photo by Getty Images

苦しい展開でも勝ちきれる

 2008年から6年間勝てていなかった日本平でようやく勝利を収めた。

選手の成長と激しいポジション争いでチーム力が向上した鹿島。主力3人欠くFC東京戦は、真価が問われる一戦に
勝負を決めたのは頼れるキャプテン小笠原満男だった【写真:Getty Images】

 前節、鹿島アントラーズはアウェイで清水エスパルスを破り、勝点3を積み上げた。そして、勝っても勝っても4位から動かなかった順位もようやく3位に浮上。首位との勝点差を2に縮めた。

 この試合で勝負を決めたのは頼れるキャプテンだった。1点ビハインドの後半16分、MF小笠原満男がPKを決めて同点とすると、その7分後にも再び小笠原。GKとの駆け引きを制し直接FKを叩き込むと、3-1の逆転勝利の立役者となった。苦しい展開で見せたベテランのパフォーマンス。35歳となった今でも、小笠原は欠くことのできない存在だ。

 清水に逆転勝利を収めた鹿島は、その前の週にはヴァンフォーレ甲府を相手に虎の子の1点を守りきっている。

 20節の甲府戦、鹿島は試合開始19秒で先制に成功した。MF柴崎岳が放った意表を突くロングシュートは、無回転のままGKの手前で軌道を変え、ゴールに突き刺さった。

 前方にはFWダヴィもおり、ドリブルでバイタルエリアまで持ち込んでラストパス、という流れでも決定機にはなっただろう。それでも、背番号20は迷わず右足を振り抜いた。自信がなければできない決断だった。

 柴崎のスーパーゴールがクローズアップされる試合だったが、その後は相手にチャンスを作られたのも事実。フリーでのシュートを許す場面もいくつかあり、GK曽ヶ端準のビッグセーブがなければ完封勝利はできなかっただろう。

 それでも、勝つことができた。盤石の戦いの末の1-0ではなかったのも事実だが、甲府戦の勝利は、若いチームが今後成熟していく上で必要な経験だったはずだ。

 圧倒的な強さを誇示しての勝利は多くないが、今の鹿島は1試合ごとに強さを増している印象すらある。再開後、3試合連続ドローと足踏みが続いたが、その後は4連勝と波に乗っている。甲府戦や清水戦のように、危ないシーンがありながら勝利で終われている。その光景は強い時の鹿島を思わせるものだ。

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