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Jリーグ 10年前

選手の成長と激しいポジション争いでチーム力が向上した鹿島。主力3人欠くFC東京戦は、真価が問われる一戦に

text by 青木務 photo by Getty Images

2列目を筆頭にどのポジションにも競争がある

選手の成長と激しいポジション争いでチーム力が向上した鹿島。主力3人欠くFC東京戦は、真価が問われる一戦に
トニーニョ・セレーゾ監督が若手を積極的に起用しているから【写真:Getty Images】

 MF土居聖真、MFカイオ、MF遠藤康、MF中村充孝、FW豊川雄太の2列目の選手たちはそれぞれが持ち味を発揮し、誰が出ても相手の守備を崩すことができる。4-2-3-1の「3」を巡る争いは激しいものだ。

 カイオはルーキーながらコンスタントに出場機会を得ており、4得点を挙げている。土居もトップ下に定着し、技術の高さを活かした巧みなドリブルが光る。ダヴィとの距離感も良く、ふたりがバイタルエリアにいることは相手にとって脅威だ。

 他のポジションでも高いレベルでの競争が繰り広げられており、選手層はここ数年で最も厚いといえるだろう。

 ポジション争いがあるのはトニーニョ・セレーゾ監督が若手を積極的に起用しているからだ。起用された20歳前後の選手たちも高いパフォーマンスを披露し、指揮官の期待に応えようとしている。

 その中でベテランも腐ることなくチャンスを伺い、甲府戦はDF青木剛がセンターバックで出場し、最終ラインをまとめた。また右サイドバックのDF西大伍は高卒3年目のDF伊東幸敏の負傷で出場機会を得ると、その後スタメンの座を掴む。18節には誰もが絶賛するスーパーボレーも決めてみせた。

 新加入のMFジョルジ・ワグネルも試合出場が可能になった。更なる競争の激化は必至だが、それを勝ち抜いた者がピッチに立つ。シンプルな競争原理の中で着実に力をつけている鹿島が、リーグの主役の座を掴もうとしている。

 そんな中、今節は鹿島にとって試練の一戦となる。DF植田直通、小笠原、遠藤が出場停止で試合に出ることができない。植田は完全に最終ラインのレギュラーに定着し、小笠原は説明不要の大黒柱。遠藤はここ最近、途中出場からリズムを変えて決定的な仕事をしてきた。主力3人を欠く中でFC東京戦に臨むことになる。

 優勝争いを演じるだけのポテンシャルは確かにある。しかし、この事態を乗り越えられなければ、優勝争いを制することはできない。

 8度目のリーグ制覇に向けて、今節は鹿島の本当の力が試される。

【了】

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