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ドルトムントとの頂上決戦、制するのは? ボルシアMGが示した「ペップ・バイエルンの倒し方」

text by 本田千尋 photo by Getty Images

最大の長所にして最大の短所となるショートパススタイル

 ブンデスリーガのチームの間で攻略法のようなものが確立されて、ドルトムントが今季苦しんできたように、ペップ・バイエルンの倒し方のようなものも姿を見せている。

 バイエルンはボルシアMGに敗れたことで、今季2敗目を喫したことになった。昨季も同様にシーズン通算で2敗しているが、いずれも史上最速での優勝が決定した後のもので、バイエルンにどこか気の抜けたところもない訳ではなかった。

 しかし今季は優勝の決定いかんに関わらず、既に2敗している。そしてその2敗は、1月30日第18節のボルフスブルク戦と、前述のボルシアMG戦によるものだが、いずれも相手に十分に戦略を練られた上でのものだ。

 清武はバイエルンに対するボルシアMGの強さ、つまり、ボルシアMGと比較してのバイエルンの弱さについて、プレスの掛け易さを挙げている。CBからボランチのアロンソといったように、ショートパスが主体のバイエルンに対しては、相手を追い易く、連動したプレスを仕掛けることが出来る。

 バイエルンに勝利を収めた後では、ボルシアMGの指揮官ファブレは「適切に守備をすることが重要だった」と述べた。ラファエルと、本来はサイドハーフの選手でスピードがありスプリントを繰り返すことの出来るハーンが先鋒となり、バイエルンのビルドアップを潰しにかかった。

 ボルフスブルクは、ダンテ、ボアテングといったCBから、CFレヴァンドフスキへの縦パスを徹底的に潰したが、これも詰まる所、清武の指摘するショートパスというスタイルに起因するものだ。要するに、圧倒的なパス本数と成功数というバイエルンの最大の長所は、同時に最大の短所にもなるのである。

 ショートパスに対して「適切に守備」をした上で、カウンターを仕掛けていく。ファブレが2トップの一角にハーンを置いたのは、そういった狙いもあったのは間違いない。ハーンは、1対1を得意とするのではなく、スペースを有効に活用するタイプのサイドアタッカーだ。

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