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「欠けている何か」を模索して――。ドルトムントを去るギュンドアン。尊重されるべき24歳の決断

text by 本田千尋 photo by Getty Images

決して順風満帆ではなかったドルトムントでの4シーズン

 そして2011年、レアル・マドリーに移籍したヌリ・サヒンの後釜としてドルトムントにやってきた。しかし新しい環境で直ぐには力を発揮できず、その年の終わりまでポジションを失ってしまう。ブンデスリーガ公式HPで、ギュンドアンは次のように振り返っている。

「タフな時間だったよ。物事が思うように行かなかった。監督(ユルゲン・クロップ)がチームから外して僕を守ってくれたことは正しかったね。一歩下がってみて、展望を取り戻すことが出来て良かった」

 そうしてパフォーマンスを改善したギュンドアンは、ドルトムントの2012年のブンデスリーガ優勝に貢献する。同年にはポーランドとウクライナで共同開催された欧州選手権のドイツ代表メンバーにも選出されて、キャリアは順風満帆に描かれていくように思われた。

 しかし2013年の8月、パラグアイ代表とのテストマッチで下部脊椎を損傷する。重症だった。復帰までに14ヶ月を要した。

 2014年10月17日付のルール・ナッハリヒテン紙上でギュンドアンは、「長い負傷離脱による休みから何かポジティブなものを学び取ることが出来ますか?」という問いに対して、次のように応えている。

「(慎重に考えて)“イエス”と言いたいところだが、それは出来ない。最終的に自分のキャリアの1年を失った。だからポジティブなものは見いだせない。ただ最悪でどうしようもないものだ。だけど忘れるべきではない」

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