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Jリーグ 9年前

Jリーグは本当に“拡大均衡”状態なのか? 経営状態の実態とクラブ経営者の憂鬱

text by 藤江直人 photo by Getty Images

決算だけを見れば経営状態は改善されているが…

「横浜ゴムがチェルシーを5年契約、合計370億円でスポンサードするように、日本の企業は普通に大金を出せるんです。ただ、残念ながらJリーグ自体が投資する価値があると見られていない。企業がその気にならないのは、日常生活のなかにサッカーが見えてこないから。露出を増やし、観客動員を増やすために2ステージ制を採用した。正直な話、僕たちも正しい開催方式だと思っていない。

 しかし、世界のなかでは中位にランクされるリーグであるわけだから、投資してもらう可能性を少しでも膨らませるような絵を描かないといけない。リターンがなければ、投資してくれるわけがないんですから」

 大分トリニータの経営企画室長としてクラブ経営にも携わった経験のある青影クラブライセンスマネージャーは、経営情報の説明会でこうも語っている。

「これはゴールではなく、クラブが安定して成長していくためのスタートラインに立てたと思っています。2014年度の当期純利益の合計を見ると、来年以降、ある程度を投資に回せるような、自クラブの組織力向上に寄与できる財源がようやく出てきたのかなと思っています」

 決算だけを見れば、Jリーグ全体の経営状態は改善されている。しかし、数字上の帳尻合わせの感が拭えない点を含めて、実態に対する認識はJリーグサイドとクラブ経営者の間で大きく乖離している。

【了】

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