かつてのスウェーデンを象徴する「組織力」と「堅守」
「組織力」「堅守」。20年以上サッカーを見てきた読者であれば、スウェーデン代表と聞いて思い浮かべるのはこれらの言葉かもしれない。直近(といっても10年以上も前の話だが)では2002年の日韓W杯でスウェーデンが見せたサッカーがこういったイメージに合致するものだった。
アルゼンチン、イングランド、ナイジェリアと同居した「死のグループ」を大方の予想に反して1位で通過。決勝トーナメント1回戦で延長戦の末セネガルに敗れてベスト16止まりとなったが、当時のチームが見せたのは構築美ともいえる組織的な守備ブロックを基盤としたサッカーで、とりわけグループリーグ最終節で優勝候補アルゼンチンを帰国に追いやった戦いぶりは見事だった。
だが、それも過去の話。いまのフル代表に「組織」「堅守」を連想するのは難しい。攻撃サッカーを標榜するエリック・ハムレーン現監督が就任した2009年からは「チームのためにどれだけ動けるか」ということよりも個々の能力を重視した選手選考が見られるようになる。
各ポジションが組織的に連動して動いてプレーすることはほとんど見られなくなり、いとも簡単にゴールを許すシーンを目にすることが多くなった。
0-4から引き分けに持ち込むという離れ業をやってのけたブラジルW杯地区予選のドイツ戦は「スウェーデンスポーツ史上に残る快挙」と言われているが、一方で「強豪相手とはいえ4点も取られるのはかつての代表チームではあり得ない」という声も見られた。
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