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日本代表 9年前

方向性を示すハリルホジッチ、一方で潜む“ゲームコントロール”という言葉の危険

東アジア杯に参加している日本代表は5日、韓国代表と対戦する。初戦の北朝鮮戦ではロングボールを駆使したスタイルを前に敗れたことによって、ゲームコントロールが問題視されていた。しかし、ゲームコントロールに固執し過ぎてしまうことで、ある危険を招いてしまう恐れもあるようだ。現地で代表を追う記者が迫る。

text by 河治良幸 photo by Getty Images

“ゲームコントロール”の必要性とは?

方向性を示すハリルホジッチ、一方で潜む“ゲームコントロール”という言葉の危険
日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:Getty Images】

 北朝鮮戦は終盤に追い付かれ、逆転を許すという残念な結果であり、日程、暑さ、試合展開を考えれば90分のゲームコントロールが問題視されるのは仕方ないところだ。

 実際に選手たちも全体的にコンパクトを維持して相手にロングボールを自由に蹴らせず、セカンドボールをしっかり拾える様にする必要性を前置きしつつ、落ち着く時間帯を作るべきだったことは反省材料として挙げていた。

 タイトルのかかった大会で勝利するという意味ではその通りだが、序盤の先制点に見られた様に、高い位置での1タッチ、2タッチをうまく活かして得点を狙うというチームの方向性が良く出ており、初戦としてはポジティブな部分もあった。その中で追加点をしっかり奪えなかったことも試合を難しくし、北朝鮮に終盤まで勝機を与えてしまった要因ではある。

 どんなスタイルだろうと90分で行われるサッカーにゲームコントロールは付きものであり、試合が始まればそこは選手が判断し、チーム内でしっかり共有して乗り切っていくべきで、その意味では初戦のメンバーがあまりに一本調子になりすぎていた部分はある。

 ただ、だからといってそこばかりを強調すると、試合そのもののペースダウンや必要以上にポゼッションに偏ったスタイルにセットバックされてしまう危険もある。幸いにも取材をしている限り、選手からハリルホジッチ監督の方向性に対する疑問の声は出ていない。

 ゲームコントロールの必要性を語っていた選手でも、例えば槙野智章は「せっかく縦に速いサッカーに切り替えている中で、また元に戻すことも必要ないと思いますし、今はチャレンジの時期でもあります」と前置きしている。そうした基本スタイルをベースにしながら、状況にどう向き合っていくかは選手に求められてくるところだ。

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