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日本代表 9年前

方向性を示すハリルホジッチ、一方で潜む“ゲームコントロール”という言葉の危険

text by 河治良幸 photo by Getty Images

日韓戦はスタメンの大幅変更へ

方向性を示すハリルホジッチ、一方で潜む“ゲームコントロール”という言葉の危険
A代表デビューが期待される倉田秋(左)と藤田直之(右)【写真:Getty Images】

 とはいえ東アジアカップという大会であり、テストのためのテストではなく、あくまで勝利を狙いにいくこと、そして勝利を掴むことで得られる経験も大きい。前回大会も初戦は中国を相手に得点こそ奪えたが、終盤に2失点するなど3-3で引き分け、内容的にも消化不良の試合だった。しかし、そこから2戦目のメンバーが奮起し、強豪のオーストラリアに勝利したことで、韓国戦での勝利と優勝につながった。

 ハリルホジッチ監督も宣言した通り、初戦から大幅にスタメンが変更されることが予想される。もちろん初めて出る選手も北朝鮮戦で出た課題や反省材料はしっかり共有して入るべきだが、それによって慎重で消極的なプレーが目立ってしまう、あるいはゲームコントロールを気にするあまり、自分の持ち味を出し切れず、また本来やろうとしている方向性がセットバックされてしまうのが怖いことだ。

 A代表のデビュー戦になる倉田秋や藤田直之にしても、北朝鮮戦では途中出場だった浅野拓磨にしても、限られた準備期間の中でもチームの方向性は把握してきており、その中でも自分の持ち味をしっかり出すことで勝利に貢献する意識を表していた。あとはそれらを試合で臆することなく実行できるかが問われてくる。

 韓国戦は勝利が求められる中でも、チャンスを与えられた選手たちがチームの方向性をしっかり打ち出し、その中で持ち味を発揮していくことが重要であり、それが欧州組を合わせたフルメンバーに定着していくための評価基準にもなる。そこはメディアやファンなど観る側も共有するべきではないか。

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