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Jリーグ 9年前

東京Vの快進撃を支える高木大輔。ストライカーとして覚醒した三男の飽くなき向上心

text by 藤江直人 photo by Getty Images

兄・善朗の加入

東京Vの快進撃を支える高木大輔。ストライカーとして覚醒した三男の飽くなき向上心
大輔の兄・善朗(写真は清水時代)【写真:Getty Images】

 もっとも、期限付き移籍が決まった瞬間、大輔は「ちょっと怖くなった」という。

「善朗は口が悪いというか、言いたいことを臆することなく言っちゃうタイプなので。それが善朗のいいところでもあるんですけどね」

 その善朗に、ゴールを量産している弟のプレーに対する印象を聞いてみた。

「上手くはないですけどね」

 大輔が指摘した毒舌だけではない。兄ならではの愛のこもった言葉が続いてきた。

「それでも前線で体を張って、最後のところでちゃんと仕事をするところは、小さなころからまったく変わっていない。ずっと変わらないプレースタイルでいられるのは強みだと思うし、それを研ぎ澄ませていってくれれば。もちろん、献身さやチームのために頑張るという姿勢があるからこそ、みんながパスを出してくれることもわかっているはずなので、何点取ろうがそこは続けていってほしいよね」

 以心伝心とも言うべきか。自分だけの力で好調ぶりが生み出されているとは、大輔自身も思っていない。

「さぼって点を取っていても、チームのみんなからは祝福されない。攻撃以外の部分でチームに貢献できればもっと、もっと点を取れると思うので、さぼることなくプレーしていきたい」

 横浜FC戦の後半23分から善朗がボランチに入ってからは、11人のうち9人をヴェルディの育成組織出身者が占めた。Jリーグ全体を見渡しても、極めて稀有なチーム構成といっていい。

 小学生のころから「ゴールを意識しながらボールを大事にする」プレーを骨の髄まで叩き込まれ、テクニックにも長ける若手たちが、GK佐藤優也、キャプテンのDF井林章、中後といった育成組織出身ではない中堅・ベテラン勢が試合を上手くコントロールするなかで躍動する。

 理想的なチーム状態のなかで、攻守の素早い切り替え、コンパクトな守備、スペースを作って使う動き、ボールポゼッションなど、冨樫監督のもとで目指してきたテーマを連続かつスムーズに実践できるようになったことが、ここにきての快進撃につながっている。

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