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香川真司 9年前

トゥヘル・ドルト、ELプレーオフの相手は“未知”。1敗の怖さ知る主将が鳴らした警鐘

text by 本田千尋 photo by Getty Images

未知の相手も気を緩めない主将フンメルス

トゥヘル・ドルト、ELプレーオフの相手は“未知”。1敗の怖さ知る主将が鳴らした警鐘
ELプレーオフに向けて気を引き締める主将フンメルス【写真:Getty Images】

 あえて厳しい見方をすれば、ドルトムントは来年の春まで長く続くリーグ戦の始まりで1勝したに過ぎない。フンメルスは「僕たちはまさに正しい道を歩んでいると思う。しかし道のりは長くまだ何も終わっていない」と言う。気が緩むことはない。

 昨季は、開幕後3戦で勝ち点6という滑り出しだった。悪くはない。しかし4戦目のマインツ戦で敗れると、「突然全く上手く行かなくなった」。そしてBVBは、敗北を重ねて残留争いに巻き込まれていく。フンメルスは、第4節のアウェイのマインツがターニングポイントだったと考えている。そこで負けは許されなかった。主将の身には、恐れが染み付いている。ふとした1度の敗北で、何もかもを失ってしまいかねない。

「僕たちは今、ブンデスリーガの34試合で、ポカールで、そしてELで、可能な限りこのような(ボルシアMG戦のような)サッカーを示すつもりだ」

 もちろん現在のドルトムントに悲観的なムードは漂っていない。香川は「本当にみんなが今は、新しい環境の中ですごくポジティブに前向きに、新しいサッカーを新しい監督の下でやれている」と言う。

 しかし「ポジティブ」な雰囲気を壊さないためにも、まずはフンメルスの言う「EL」、ノルウェーのオッズ戦で負けは許されないのだ。忘れかけていた姿を取り戻して、再び王者バイエルンに立ち向かっていくためにも。ボルシアMG戦の後で、香川は「初心に帰る」と口にした。

 気もそぞろのメディアやファンを他所に、フンメルスも香川も現実を見据えている。

【了】

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