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日本代表 9年前

【識者の視点】ハリルJは何が進化しているのか? 大量点を生んだ確かな前進

日本代表は8日、ロシアワールドカップ・アジア二次予選でアフガニスタン代表と対戦した。中立地イランで行われた試合だったが、終わってみれば6-0の大勝。大量得点を生んだ背景には、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が作り上げた基本のベースに「イメージの共有」と「選手による状況判断」が加わったところにあった。

text by 河治良幸 photo by Getty Images

これまでの成功と経験を自負するハリルホジッチ監督

【識者の視点】ハリルが示した確かな進歩。大量点を生んだイメージの共有と状況判断
日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督【写真:Getty Images】

「皆さんがどの様に気付かれたか分かりませんが、チームは色々な発展をすでにしています。ディフェンス面、そして攻撃面。ビッグチャンスもかなり作り出しています」

 ハリルホジッチ監督がそう説明したのはアフガニスタン戦の前日会見。ブラジルW杯で世界を驚かせたアルジェリア代表でも、チーム作りの過程では厳しい批判にさらされ、解任の要求も出ていたという。日本代表でも現在は多くの批判にさらされているが、アジア予選が続く状況でチームの成長をどう思い描いているのかを質問してみた。

「これまで多くのクラブと代表チームを率いてきたが、私が着任する時には大体のところがデリケートな状況になっていて、そこから向上させて発展させていかなければならない。もちろんフットボールはなかなかすぐには発展しないものです。でも多くの人はなかなか待てない。特にサポーターとメディアは早く結果を欲しがり、何日かで色んなことがすぐに変わると思ってしまう人もいます」

 そうした批判が出るのはノーマルであることを前置きした上で、「私はするべきことを分かっていますし、おそらく1年後、2年後、3年後にはまた別の話になっているのではと思います」と語り、これまで成し遂げてきた成功と経験に対する自信と自負を示した。

 アフガニスタン戦は中立地のイランでの開催となったものの、強い日射しと乾燥した空気、おまけに長い芝とデコボコのピッチという厳しい環境で、スタンドを埋めるほどではなかったが、アフガニスタン移民の現地サポーターは祖国の代表チームを後押しし、日本代表に対して小さからずプレッシャーをかけてきた。

 そうした状況で6得点を記録したことは確かな成果であり、指揮官も試合後に「選手にはブラボーと言いたい」と賛辞を贈っている。もちろんここで満足することなくレベルアップを続けていかなければ、次のシリア戦はもちろん、最終予選、さらに先に待つ本大会での躍進が望めないが、アフガニスタン戦で見せた確かな進歩を認識していく必要がある。進歩というのはチームとしての基本コンセプトの共有と対戦相手に応じた戦い方の選択だ。

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