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Jリーグ 9年前

GMを「育成する」名古屋グランパスのフロント改革

9/7(月)発売『フットボール批評issue07』では、名古屋グランパスの久米一正社長、小倉隆史GM補佐にインタビューしている。名古屋はなぜGM育成に踏み切ったのか。一部を抜粋して掲載する。

text by 海江田哲朗 photo by Tetsuro Kaieda

これまで培ったGMとしてのノウハウを伝えたい

GMを「育成する」名古屋グランパスのフロント改革
名古屋グランパスの久米一正社長【写真:Tetsuro Kaieda】

 メッセージをメディアを通じて伝えていくのもクラブの舵取りをする人の重要な仕事だ。柏レイソル、清水エスパルスでも実績を残してきた久米は、メディアの活用術、および対策についてどのような考えを持っているのか。

「私は記者の方々とわりと付き合うほうですね。面白くないことを書かれることもありますが、そのときは直接会って話をします。根も葉もない選手の移籍話を書かれたときは怒ったなあ。選手の一部がそれで動揺したので、放置できなかった。そのときはちゃんと自分のところに聞きに来いって言いましたね。違うときは否定する。話せることは話すと。書きっぱなしにされるのが一番困るんですよ。書き方はどうかと思う記事でも、半分は当たっている話だなと思えば、警鐘を鳴らしてくれているんだと考えるようにしています」

 今後、GM業の重要性は増す一方で、そこを目指す人たちは続々と出てくるに違いない。そこで必須の能力とは何か。

「ひとつはプレゼン能力でしょうか。スポンサードしてくれる方々を説得できるだけの綿密な提案書を示し、合意を得られなければ計画の実行にこぎ着けられません。これからGM業に参入してくるだろうプロを経験した人たちはサッカーに対する見識は確かに豊かです。だが、それだけではこの仕事は務まらない。これは成否のカギを握るポイントだと思います。あとは身ぎれいであることが何より大事です」

 久米はこれまで蓄積したGM業のノウハウを形として残そうとコツコツ作業を進めている。
「私はサッカーに育ててもらった人間ですから、そこで経験させてもらったことはすべてオープンにすべき。せめてもの恩返しのつもりです」

 また、後継者育成にも乗り出し、6月、クラブOBの小倉隆史氏のGM補佐就任が発表された。

「地元出身、かつグランパスのシャツに袖を通したことのある元選手。彼の良さは軸ブレを起こさないことですね。強い信念を持ち、前進していける。聞く耳を持ち、バランス感覚があるのも長所。GMの資質を充分に備えています」

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