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日本代表 9年前

【識者の視点】塩谷、柏木、南野。新戦力の顔ぶれに見るハリルホジッチのメッセージとは?

text by 河治良幸 photo by Getty Images

カギは“1つ飛ばすパス”。柏木が序列崩せるか

3年半ぶり復帰の柏木、「調子乗り世代の10番」が再び代表での戦いに挑む
バランス感覚が高く、速く正確にボールを動かせる柏木陽介【写真:Getty Images】

 MFの柏木は遠藤が怪我で外れたことでチャンスを得たと考えられるが、東アジアカップは怪我で辞退を余儀なくされており、指揮官がどこかで招集したかった選手であることは間違いない。

「ボールを奪ってほしいが、特に後ろからの組み立てに参加してほしい」と期待をかけられる柏木はメンバー内では柴崎岳と役割が重なる部分が大きいが、構成上は“ディフェンシブな3人”の1人に数えられており、守備的なタスクも少なからず求められてくる。

 思い返せばザッケローニ時代に定着しかけたものの、浦和ではボランチ、日本代表では守備力の不足からかトップ下でもテストされ、目立った働きができずに代表からフェイドアウトした経緯がある。

 当時から比べれば守備面で明らかな進歩があり、またパスの正確性だけでなく、長短の使い分けやスピード、効果的な攻め上がりなど、オーガナイザーとしての質を高めている。

 ここに来てメディア対応時のコメントにもポジティブな変化が見て取れる柏木はもともとスタミナに自信を持っているが、走力が高い選手ではない。相手に鋭い飛び出しをしてくるMFがいれば、周囲のカバーに頼らざるをえない部分はある。

 その取捨や補完関係を指揮官がどう判断するか未知数だが、バランス感覚が高く、速く正確にボールを動かせる柏木は一段前のポジションを担う清武と共に、中盤からビルドアップの質を高める存在になりうる。

 特にハリルホジッチ監督が就任当初から日本代表の課題にあげた“1つ飛ばすパス”はまだチームとして十分に実現できていない。ここ2試合はワイドな展開が目立ち、左右のサイドと中央を使い分けることはできているが、そのテンポが遅いために結局は効果的に相手陣内のスペースを使えていないのが実情だ。

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