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“新戦力”金崎&柏木は日本を変えるか。成長遂げた“調子ノリ世代”が競争の中心へ

text by 編集部 photo by Getty Images

“新戦力”金崎&柏木は日本を変えるか。成長遂げた“調子ノリ世代”が競争の中心へ
金崎夢生と柏木陽介【写真:Getty Images】

 日本代表に“期待の新戦力”が加わった。12日のシンガポール戦で約5年半ぶりにブルーのユニフォームを纏った金崎夢生と、同じく約3年半ぶりの柏木陽介。厳密には新戦力ではないが、現体制にとっては未知の存在である。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は試合後、「金崎と柏木は長い時間をかけて追跡してきた。そして私は彼らに表現する場を与えていた。この2人は素晴らしい試合をしたので、私は(自分の判断が)正しかった」と述べ、2人のプレーを称えた。

 実際に金崎は見事なボレーシュートでチームに先制点をもたらした他、90分間ピッチを幅広く走りまわり、チャンスメイクからフィニッシュまで積極的なプレーで決定機に絡んだ。

 柏木も「相手を寄せるパスと裏に出すパスとサイドに散らすパス、というのを自分の中でよく選んでプレーできたというのはあるし、ちょっとバタバタしたときに落ち着かせることと、あとは切り替えてボールを奪いにいくところも自分の中でできた」と語る通り、ピッチ中央でコンダクターとして攻撃のスイッチを入れる役割を十二分にこなした。

 同僚たちも“新戦力”2人のプレーを高く評価している。金崎にとって滝川第二高校時代の先輩である岡崎慎司は「ゴールを決めたってことがFWの役割を果たしたと思うし、チームが苦しい時にボールキープしていた」と1トップとして結果を残した後輩を称え、「今まであいつはそういうタイプじゃなかった」と5年間での成長に驚いている。

 トップ下として金崎を支えた清武弘嗣も「ムウくんと近くなったことで、僕に入った時にワンタッチで叩ける。ユニフォームが破れたシーンは、破れていなかったらたぶんゴールまで行けていた」と連携面での成果を感じており、左サイドで再三いい絡みを見せた武藤嘉紀も「しっかりボールを収めてくれるので非常にやりやすかった」と好感触を得ている。

 柏木にも称賛の声があがる。中盤でコンビを組んだ長谷部誠は「彼はボールを触っていいパス出しできる選手ですしね。それに関して言えば球際とか守備の部分でかなり貢献していた」と、攻守における豊富な活動量と献身に賛辞を送った。

 しかし、長谷部が「後半は正直、うまくいったかというとあまりうまくはまらなかった。最後のクオリティの部分であまり精度は高くなかった」と語る通り、徐々に失速していった後半で柏木と金崎がゲームの流れを変えるプレーを見せられたかと言えばそうではない。まだまだ足りない部分が多くある。

 ハリルホジッチ監督は「私の頭のなかでは(来年)3月の準備も考えていて、また1人か2人、トライしたい選手がいる。そして最終予選のとき、グループはもっと小さくなっていると思う」と述べ、競争の激化を示唆している。これまで40人近く起用されてきたが、どんどん候補は絞られていくだろう。

 まだ起用されていない南野拓実を含め、金崎や柏木のような久々に復帰した選手たちにも十分なチャンスがある。柏木は「僕は満足していないし、もっと強くなった相手に対して自分がどれだけできるのか試していきたいし、日々成長していきたい」とポジションの獲得に意欲をみなぎらせている。

 チーム内の競争が激しくなれば、確実に日本代表の強化へとつながっていく。そのためにはこれまで代表に絡むことの少なかった“新戦力”たちの奮起が不可欠になる。金崎や柏木が新風を吹き込めるのか。2人がシンガポール戦でのプレーを今後の戦いでも継続できれば、日本を変える大きな力になるだろう。

【了】

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