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日本代表 8年前

大家族のなかで競争意識を磨いた浅野拓磨のジュニア時代。自らのゴールでリオへ道を切り開けるか

text by 元川悦子 photo by Getty Images

練習にどんどん食いついていった

 日常的に多くの人間と関わり、切磋琢磨する生活はサッカーにも好影響をもたらした。ペルナSCの清水コーチがテクニック重視の指導をモットーにしていたこともあり、拓磨少年は毎日リフティングやドリブルなどのスキルを磨くことに精を出した。

「『リフティング100回できたやつからAチームに上がれる』って言われて、僕は相当時間がかかったけど必死に努力したんです。できた瞬間に上へ入れてもらいましたね。清水コーチはテクニックに物凄くこだわっていて『クリア禁止』とか『股抜きされたら抜き返せ』とかいろんなことを求める人。でも絶対に怒ったり怒鳴ったりはしなかった。食いついてくる子にはどんどん教えてくれる指導者で、僕にとってはすごくよかった。清水コーチの息子3人の2番目が自分の1つ上にいて、すごくうまくて『この人はプロになるんじゃないか』と思ってました。その人の存在も僕には大きかったですね」(浅野)

 清水コーチがスキルに固執したのは、将来上のカテゴリーに行っても活躍できる選手を育てたいという強い思いがあったから。特に小学校時代の拓磨少年は小柄でフィジカル的には周りに勝てなかったため、より正確な技術を身につけてほしいと考えていたようだ。

「1対1でシュートを決めても『普通やな、お前』と口癖のように言いましたね。そうなると、タクはムキになって股を抜いたり、マルセイユルーレットをしたり、相手の逆をとったり、ループシュートをしたりと一生懸命、工夫を凝らそうとする。確かにムチャクチャな要求ばかりでしたけど、自分で考えてトライする方向には仕向けたつもりです」

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