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ハンドの“ミスジャッジ”はなぜ起きたのか? 家本主審、西村主審が語る原因

text by 中山佑輔 photo by Getty Images

G大阪の丹羽大輝【写真:Getty Images】
G大阪の丹羽大輝【写真:Getty Images】

 24日、JFAハウスで「JFA Media Conference on Refereeing 2016(レフェリングについてのJFAメディアカンファレンス2016)」が行われ、今シーズンの判定基準(スタンダード)のほか、20日開催された富士ゼロックススーパーカップでのPK判定についての説明がなされた。

 ゼロックススーパーカップでは1-0と広島リードで迎えた55分、物議を醸す判定がなされた。左サイドを突破した広島の選手がクロスを上げた際に、ブロックに入ったG大阪の丹羽大輝がペナルティエリア内でハンドを犯したとして、飯田淳平主審がPK判定を下したのだ。

 映像を見るとボールは丹羽の手ではなく顔にあたっており、ハンドのファウルは犯していない。丹羽は猛抗議するも受け入れられず、広島はそのPKを成功させリードを2点に広げると、最終的に3-1で勝利している。

 カンファレンスでは、この判定について上川徹審判委員長が問題提起し、家本政明主審と西村雄一主審が、なぜこのミスが起きたかについて、それぞれの意見を語った。

上川徹審判委員長「私もスタンドで見ていた印象だと、(丹羽が)両手を挙げて(ブロックに)いっているからボールが手にあたったんだ、ハンドだなと思いました。

 レフェリーは、丹羽選手の左腕にボールがあたってコースが変わったと。ただ映像で見ると顔にあたっていますね。我々はこれをどうやって正しく見極めないといけないか。どこで見るのがポジション的にはいいのか」

家本政明主審「可能性としては(映像で位置を示しながら)この辺のポジション(ペナルティエリア横の位置)になるんですよ。じゃあ現実的にそのポジションに行けるのかって話になると思うんですけど、そうするとリスクがある。

 こういうところ(ペナルティマーク付近)での次の反則の見極めはどうなんだと。そのポジションに行ける可能性はあったとしても、そこに行くことによって、次何か起こったときにそれが見えないということになると、それは取れないポジションになります」

西村雄一主審「我々レフェリーがこれをハンドと見間違える大きな理由ですが、ディフェンスのプレーヤーがこのように手を挙げていくと、我々のスイッチとしてはハンドの判定になる可能性が高い。

 たとえば(丹羽の)左手の位置が違うところであれば、たとえ手に当たっても我々はコーナーキックと判定することができるようにはなっている。ですが、この高さで、スライディングという体のどこかにあててでも止めたいという行為のなかで、通常の位置と違って手を大きく使って、防げる部分を大きくした場合には、これは本当に残念なことなのですが、我々は見間違えることがあるということです。

 ですのでプレーヤーの方は、このシーンを見て、レフェリーの判定を腹立たしいと思うとともに、リスクを減らせるスライディングの技術が求められているというところまで考えていただければいいのかなと思います」

 この判定ミスは世間の大きな話題を呼んだことは間違いないが、上川審判委員長は飯田主審をはじめとする審判団が同試合でいくつもの難しい判定をうまくこなしたことにも触れ、今後もミスを減らす取り組みを続けていきたいと語った。

(取材・文:中山佑輔)

【了】

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