大儀見優季が吐露した本音。“サッカーを語らない”メディアへの疑問。問われる報道姿勢

2016年03月22日(Tue)16時45分配信

text by 小澤一郎 photo Asuka Kudo / Football Channel , Getty Images
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他国の進歩に応じて日本がトライした新戦術

退任会見で女子サッカーのレベルが上がっていると語った佐々木則夫監督
退任会見で女子サッカーのレベルが上がっていると語った佐々木則夫監督【写真:工藤明日香/フットボールチャンネル】

 ただし、もはや一部スポーツ紙の卑劣なゴシップ記事を糾弾すること自体が時間の無駄。今回彼女が更新したブログにはゴシップ記事への悲しみや怒り以上に強いメディアへの要求が行間に含まれていた。それは「勝った時にサッカー的視点で評価され、負けた時にはサッカー的視点で質の高い批判をされるように、全力で日々精進していきたいと思います」という部分だ。

 大儀見は大会中、「結果が出てもサッカーで評価されなくて、結果が出なくても、サッカーで批判されない。サッカー選手として、これほどの屈辱はない」ということを口にした。だからこそ、ここからはなでしこジャパンのサッカーについて触れる。

 退任会見で佐々木監督は「現実的にドイツの女子W杯後、ロンドン(五輪)、年々の世界大会で本当に各国の世界レベルが、個の質も技術も上がってきています。戦術的な要素も、以前はアバウトな状況の攻守にわたっての戦術だったのが非常に密になってきた」という認識を改めて披露した。

 会見の席で日本サッカー協会の大仁邦彌会長は「なでしこスタイル」という言葉を用いて「今はなでしこスタイルを世界が真似している」というコメントを残したが、昨年3月のアルガルベカップあたりから佐々木監督は狭い距離感で攻撃ではショートパスをつないで前進する、守備では複数人で囲い込んで奪い切るサッカーだけでは世界で勝てないジレンマに立ち向かうべく新戦術を試してきた。

 具体的にはロングパスを用いた「チェンジサイド」、「高い位置での起点作り」という2つの戦術で、なでしこスタイルに内在されていた「いい(=狭い)距離感」という強みを捨てる勇気を持ったサッカーにチャレンジしてきた。

 だからこそ、オーストラリアとの最終予選初戦でDFラインが下がる傾向と重心の低いサッカーについて質問された佐々木監督は論理的な回答をしている。

「止める・蹴るの質が上がってきたのは現実にアジアでもあると思う。そこをかいくぐられてしまうと、どうしても後ろは状況が厳しくなって下がらざるを得なくなり、そういう状況があって自分たちがイニシアチブをとろうと思ったところが、第1戦などは特に、相手から守備にわたっても展開にしてもイニシアチブを取られた状況になった」

 その上でこれからのなでしこジャパンに必要なことについて佐々木監督は「個の質を上げていくこと」と述べた。具体的に個の質がどういう要素なのかまでの踏み込んだ言及はなかった。

 だがリオ五輪の出場権を獲得したオーストラリアと中国との試合において、なでしこジャパンが狭いエリアで攻守に渡りイニシアチブを握られてしまった現実からして、もはや「なでしこスタイル」、「パスサッカー」などという曖昧な言葉で日本の女子サッカーの進むべき方向を語るべきではない。

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