元広島・ドウグラス、中東移籍の内実。WIN-WINの関係を築く“部分買取”による完全移籍【職業:サッカー代理人】

FIFAの公認代理人制度廃止により、混沌としている選手エージェント業界。新たな「仲介人制度」のもとでは、どのような変化があるのだろうか。実際の現場に従事する選手エージェントに話を聞き、その重要性を再考する。今回は、2015シーズンの広島の優勝に大きく貢献したドウグラスの中東移籍を題材に、“部分的な買取”について考える。(取材・文:小澤一郎)

2016年04月20日(Wed)10時20分配信

シリーズ:職業:サッカー代理人
text by 小澤一郎 photo Getty Images
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ドウグラスの経済権51%を獲得した徳島

2015年に徳島からの期限付き移籍のかたちで広島の一員としてプレーしたドウグラス
2015年に徳島からの期限付き移籍のかたちで広島の一員としてプレーしたドウグラス【写真:Getty Images】

 2015シーズンのJ1を制し、クラブW杯で世界3位の座を獲得したサンフレッチェ広島において、「陰のMVP」とその目覚ましい活躍を讃えられたのがドウグラスだ。2010年7月にブラジルのトンベンセFCから徳島ヴォルティスが獲得したブラジル人FWは広島に来るまでの4年半で所属した徳島、京都サンガF.C.で目立った活躍がなく、昨季のブレイクは多くのサッカーファン、関係者を驚かせた。

 昨季終了後、広島でのタイトルを置き土産にUAEの強豪アル・アインFCへと移籍したが、今回はドウグラスの日本でのエージェントを務めていた稲川朝弘氏にドウグラスの移籍の経緯や日本でプレーするブラジル人選手のサポートの仕方、それからエコノミック・ライツ(経済権)を用いた移籍スキームの作り方について聞いていく。

「基本的に広島は更新オファーを出していました」と稲川氏が説明するように、あくまで昨季のドウグラスは徳島の所属であり、広島には期限付き移籍の形でプレーをしていた。

 トンベンセFCからの期限付き移籍でドウグラスを獲得した徳島は2014年に完全移籍で獲得する。徳島はトンベンセFC側が要求する移籍金を満額用意することができなかったため彼のエコノミック・ライツ(経済権)51%を買い取った。残り49%はトンベンセFC側に残し、将来的な移籍金を「300万ドル」に設定するスキームでの完全移籍だった。

 プレーする国のサッカー協会へ選手登録する権利である「フェデラティブ・ライツ(協会登録権)」は分割できないが、肖像権や将来的な移籍金を「エコノミック・ライツ(経済権)」として独立させ、株のようにクラブ間で分配する移籍スキームは特にブラジル人選手に多い。長年ブラジル人選手を日本のマーケットに連れて来ている稲川氏も「よくやる手法」とのことで、その理由を次のように話す。

「ブラジルのクラブが移籍に際して求める満額は変な話“言い値”なので、私の感覚ではその半額であってもペイしていると思っています。向こうの言われるままにやりたくないし、舐められないためにも私はこういうやり方をしています。

 ドウグラスについても当時の徳島にそれだけのお金がなかったので、50万ドルで彼の経済権の51%を買って、次の移籍金を300万ドルに設定しました。トンベンセFCに対しては、『日本でブレイクして中東や中国に売れたら大きなお金になるから、パーセンテージを残して半分は持っておこう』と提案して結果的にそれが通りました」

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