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アトレティコが見せた堅守速攻の真髄。バイエルンを破壊した“チョリスモ”が決勝への扉を開ける

text by 舩木渉 photo by Getty Images

守護神オブラク。プレッシングだけでないアトレティコの強み

ヤン・オブラク
アトレティコ・マドリーの守護神であるヤン・オブラク【写真:Getty Images】

 決勝点を奪ったサウールの個人技に目が行きがちになるが、この試合のアトレティコにはさらに2人勝利の立役者がいた。彼らは敵地ミュンヘンでの第2戦でも間違いなく攻守のキーマンになる。

 守護神ヤン・オブラクはリーガエスパニョーラでサモーラ賞(最優秀GK賞)獲得間違いなしのパフォーマンスを披露しているが、バイエルン戦でもそのプレーは突出していた。

 まず特徴の一つにポジショニングの良さが挙げられる。どんな時も冷静さを保ち、ボールとゴールに対して最適な位置を取り続ける。さらに判断の速さとセービングの正確さを生かし、最後までボールの軌道を見極めて適切な処理をする。

 たとえばバイエルン戦の前半、FKの場面でドグラス・コスタに逆を突かれて危険なシュートを放たれた場面があった。当初シャビ・アロンソが蹴ってペナルティエリア内の味方に合わせると読み、体重を右にかけていたが、ドグラス・コスタが蹴ったボールの軌道を見て即座に修正。シュートはゴールをわずかに外れたものの、オブラクはしっかりと左方向に飛んでいた。

 さらに後半、アルトゥーロ・ビダルが遠目の位置からいきなり強烈なシュートを撃ってきた場面もGKから見てボールの位置を確認しにくい軌道ながらとっさに反応し、相手選手が誰もいない逆サイドにしっかりと弾いて見せた。飛び出しやキャッチングの技術も高く、常に自分の正面でボールを処理しようとポジションを取るオブラクからゴールを奪うのは至難の技だろう。

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