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アトレティコが見せた堅守速攻の真髄。バイエルンを破壊した“チョリスモ”が決勝への扉を開ける

現地時間27日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ準決勝第1戦でアトレティコ・マドリーがバイエルン・ミュンヘンを1-0で破った。ディエゴ・シメオネ監督が標榜するサッカーの魅力が詰まった90分間。ドイツで圧倒的な強さを誇るバイエルンを見事なまでに破壊した戦術に迫る。(文:舩木渉)

text by 舩木渉 photo by Getty Images

「アトレティコとともにファイナルへ」

アトレティコ・マドリー
試合開始前、ビセンテ・カルデロンに集まったサポーターは巨大なコレオグラフィで入場する選手たちを迎えた【写真:Getty Images】

 現地時間27日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ(CL)準決勝第1戦アトレティコ・マドリー対バイエルン・ミュンヘンの試合開始前、ビセンテ・カルデロンに集まったサポーターは巨大なコレオグラフィで入場する選手たちを迎えた。

「Atoleti yo te amo contigo a la Final」=「アトレティコ、私はあなたを愛している。ともにファイナルへ」

 本拠地でバルセロナを破り、さらに公式戦5連勝中のアトレティコはバイエルン相手にもひるまず立ち向かい、地元ファンの大声援を背に見事1-0という最高の結果を勝ち取った。3試合連続で1-0という紙一重の勝負をものにしたチームには“チョリスモ”(シメオネ魂)が骨の髄まで浸透している。

 守備の要ディエゴ・ゴディンを欠きながら一糸乱れぬ連携でバイエルンの攻撃を完封して見せた。その点だけでも特筆に値するだろう。

 スローな展開で始まった試合は11分に大きく動く。サウール・ニゲスが個人技で3人を抜き去り、名手マヌエル・ノイアーの守るゴールにシュートを突き刺してアトレティコに先制点をもたらした。

 バイエルンのジョゼップ・グアルディオラ監督は試合後、「素晴らしいゴールだったが、我々のミスでもある」と立ち上がりの悪さと緩慢さを悔やんだ。まだ試合の大まかな流れが決まる前にゴールが生まれたことで、主導権は完全にアトレティコのものとなる。

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