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アトレティコが見せた堅守速攻の真髄。バイエルンを破壊した“チョリスモ”が決勝への扉を開ける

text by 舩木渉 photo by Getty Images

シメオネ式プレッシング炸裂

 序盤に失点したバイエルンはアトレティコの2トップ、フェルナンド・トーレスとアントワン・グリーズマンがCBに対してかけてくるプレスを嫌がった。するとどうしても両SBのフィリップ・ラームやダビド・アラバを経由したビルドアップになってしまう。

 そこから両サイドに開いたドグラス・コスタやキングスレー・コマンにボールを渡し、圧倒的な個人技を用いて相手ゴール前への侵入を試みた。だが、この時点ですでにアトレティコの術中にはまっていた。

 ホームの声援を背にプレーするアトレティコの選手たちは、2トップが相手CBにプレッシャーをかけてバイエルンの選択肢を奪ったところをスイッチに、両サイドの選手たちに複数人で襲いかかる。SBのところで奪えなければサイドMFにプレッシャーをかけ、そこもダメならFWのロベルト・レバンドフスキにボールを入れさせないよう気を配りながらゴール前を固めた。

 この策は奏功する。バイエルンはシュート19本を放ちながら枠内に飛んだものがわずか7本、GKにセーブもしくはフィールドプレーヤーにブロックされたシュートは11本もあった。いかにゴールから遠かったがよくわかる。レバンドフスキに至ってはフル出場でわずかシュート1本に終わった。

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