痛感した「無力感」とゴールへともどかしさ
その後12月までで唯一のゴールは、敵地でのニューカッスル戦での1点のみ。それでも、前線からのプレッシングや自陣まで戻ってのトラックバックといったハードワークに加え、さらにゴールに遠い位置では中盤と前線、また左右と中央のリンクアッププレーに従事して、得点以外の面で持ち味を出した。
もちろん本人としては、常にゴールを狙う意欲があり、喉から手が出るほど点は欲しかった。しかし、ヴァーディーやリヤド・マレズがゴールを量産してチームをリーグ表の上位に押し上げる一方、岡崎は黒子のような存在として「貢献度は高いが危険な香りがしない選手」になりつつあった。それだけに自分の中では葛藤も少なくなかった。
開幕から5週間経った9月中旬のアストンビラ戦後。「いつもこれは思うのですけど、ヨーロッパでやっていると。自分のその、無力感と言うか、生かされるタイプとしてやってきているので、なんか中でこう走ってもボールが来ないとか」とつぶやいた。
また11月のワトフォード戦後には、ストライカーとしての自分の形を作り出せずに「今はまだ見えないですね。どうやったらゴールになるか」と、もどかしさを感じていた。
とはいえ岡崎の存在は、前半戦のイケイケスタイルの中でチームに落ち着きをもたらす指針を作った。だがそれでも、毎試合起用はされるもののレギュラーには固定されず、先発しても前半のみの出場や最長でも60分前後まで、もしくは後半からの途中出場が続いた。
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