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日本代表 8年前

ハリルJの進化に不可欠な若手の台頭。五輪世代・植田直通が示したA代表クラスの強さと安定感

text by 元川悦子 photo by Getty Images

強さと安定感。センターバック・植田直通の魅力

植田直通
A代表クラスの実力をみせる植田直通【写真:Getty Images】

 まず注目すべきは、キャプテンマークを巻いた植田直通(鹿島)だ。186cmの大型DFは額を切って流血する中、最終ラインを力強く統率。ガーナ人選手を上回る打点の高いヘディング力を披露し、身体能力の高さを随所に見せた。

 彼のフィジカル面の優位性は10代の頃から知られていたが、1月のリオ五輪最終予選でアジア制覇を経験して以来、本人の中に確固たる余裕とリーダーシップが生まれたのは間違いない。それがこの試合でも如実に出た。

 以前は奈良竜樹(川崎)や岩波拓也(神戸)の指示に合わせて動くタイプだったが、自ら声をかけながら的確なカバーリングを見せ、攻めに直結するフィードも出すなど、進化のほどを示してくれた。

「五輪代表から帰ってきて、ナオはオーラが違う。ヘディング1つとっても、前だったら競り合った相手に負けたらメッチャ引きずるやつだったけど、今はいちいちクヨクヨしない。『次、次』ってすぐに切り替えている。そこが一番変わったところ」と鹿島アントラーズでコンビを組む昌子源も目覚ましい変化を強調していたが、今の植田はA代表に昇格していいだけの安定感がある。

 ハリルホジッチ監督率いる日本代表のセンターバックは、2次予選全試合にフル出場し無失点突破の原動力となった吉田麻也(サウサンプトン)が大黒柱。彼のパートナーを森重真人(FC東京)と槙野智章(浦和)が争っている状況だが、吉田は今季プレミアリーグ後半戦18試合中、先発フル出場はわずか1試合。最近3試合は出番なしが続いている。

 最終予選が始まる頃、彼がどこでプレーしているか定かではないが、現状が続くようでは、コンディションやパフォーマンスに不安が残る。

 森重、槙野はJリーグでは突出した存在だが、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)など、国際試合で強い当たりと対峙すると脆さを露呈するケースも見受けられる。彼らに比べて21歳の植田には非凡な身体能力という絶対的な武器があり、大きく成長する可能性もある。ポジションを争える存在と言える。

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