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日本代表 8年前

ハリルJの進化に不可欠な若手の台頭。五輪世代・植田直通が示したA代表クラスの強さと安定感

text by 元川悦子 photo by Getty Images

攻撃陣も明るい材料揃うが……

本田圭佑
本田圭佑を忘れさせる逸材は現れるか【写真:Getty Images】

 ガーナ戦で巧みなループシュートを見せ、3点目を叩き出した富樫も興味深い存在だ。未知数の部分が多いが、裏へ抜け出す強さと迫力、ゴール前でしっかりと体を張ってタメを作れる力強さは目を見張るものがある。加えて、ガーナ戦の得点シーンのようなテクニカルな部分も兼ね備えているのは大きい。

 もちろん現A代表のセンターFW候補には代表キャップ数100を突破した岡崎を筆頭に、金崎夢生(鹿島)、武藤嘉紀(マインツ)、今季オランダリーグで16ゴールを挙げたハーフナー・マイク(デンハーグ)らがおり、層は薄くない。

 富樫はJ1でのプレーを含めて波に乗っている感はあるが、今季最低でも2桁ゴールをあげるなど高い水準での活躍を継続できなければ、年長者の間に割って入るのは難しい。ただ、22歳の彼が一気に急成長する可能性もゼロではない。

 富樫以外でも、アタッカーとボランチの両方を担った矢島、相変わらずのスピードで相手をかく乱した浅野、左足のキックで魅せた野津田岳人(新潟)らがそれぞれの個性を示した。これは明るい要素だろう。

 とはいえ、12日にメディア対応にのぞんだ霜田正浩ナショナルチームダイレクターは「2次予選では39人を招集し、29人を使ったが、最終予選になればある程度チームが固定されるようになるだろう。代表は正当な競争が繰り広げられるべき場。

『もう本田じゃなくてもお前がいれば大丈夫だ』という選手が出てこなければ、今の主力からポジションを勝ち取れない。若い世代の海外へ行くスピードが遅くなっているとハリルホジッチ監督も話している。トップレベルでやりたいと思う選手がもっと増えないといけない」と若手の台頭にネガティブな見方を示していた。

 その見解を打ち破るのは、果たして誰なのか。植田を筆頭に高い壁を破りそうな面々がどんどん出てきてくれなければ、日本の明るい未来は開けてこない。

(取材・文:元川悦子)

【了】

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