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日本代表 8年前

中島翔哉の帰還。J3でのプレー、長期離脱を経て、帰ってきたU-23アジアMVP

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「背番号にはこだわっていない」

南アフリカ戦では矢島に背番号10を託した手倉森誠監督
南アフリカ戦では矢島に背番号10を託した手倉森誠監督【写真:Getty Images】

 前半は浅野とのツートップで、後半開始から左MFに一列下がり、途中から再び最前線にあがった中島は、実戦復帰から2週間あまりで初めて90分間フル出場を果たした。

 もっとも、これまでと同じように、南アフリカ戦へも「これがこのチームでプレーできる最後の機会になるかもしれない」という覚悟を秘めていたと明かす。

「自分はJリーグでずっと出ているわけではないので。それでも、ずっと呼び続けてくれたテグさん(手倉森監督)を勝たせたいという思いも当然ありました。(90分間プレーして)できるところもありましたし、まだまだのところももちろんある。それらをちゃんと自分で考えて、練習で考えて取り組みながら、修正してきたことを自然と試合のなかで出せるように、そのレベルまでやっていきたい」

 試合後のロッカールーム。ポジティブな競争のなかから、リオデジャネイロ五輪に臨むメンバーを選ぶと選手たちに告げた手倉森誠監督は、ゴール競演を果たした中島と矢島の名前をあげながら会見場の爆笑を誘っている。

「(翔哉に)10番を与えなかったのは、我ながらいいマネジメントだったなと。どの大会でも彼ら2人は絡んできてやってくれている。ゲームを決定づける仕事に関しては矢島もすごく伸びたと思っているし、翔哉は相変わらずここ(代表)に来ると結果を出すやつだなと」

 前半45分に矢島が勝ち越しゴールを決めた直後のシーン。笑顔を弾けさせながら、真っ先に抱き着いてきたのは中島だった。図らずも「10」番を争うライバル同士となった中島は「日本が勝つことが一番大事。背番号にはこだわっていない」とこう続ける。

「自分が決めることじゃないので、(メンバーに)選ばれるか選ばれないかはわからないですけど、世界に対する準備は常にできるので。いつも言っていることですけど、それはみんな一緒だと思います。どこでプレーしていても、自分は常に上手くなりたいという気持ちをもってきました。いつも全力で、サッカーを楽しむことが自分にとっては一番大事なので」

 現時点でできることは、南アフリカに4-1で快勝したピッチのうえですべて表現できた。J3で全力プレー。そして、まさかのけがからの復帰。人事を尽くしたという思いがあるからこそ、中島は天命、イコール、最終メンバー18人に入る吉報を待つ。

(取材・文:藤江直人【松本】)

【了】

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