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日本代表 8年前

ブラジル戦で見えたリオ五輪代表の守備の課題。受け身の「待つ」守備では世界と渡り合えない【坪井健太郎の視点】

このほど『サッカー新しい守備の教科書』(カンゼン)を上梓した、戦術分析に定評のある坪井健太郎氏の目に、ブラジル戦に完敗を喫したリオ五輪日本代表の守備は、どう映ったのか。(文:坪井健太郎 構成:小澤一郎)

text by 坪井健太郎 photo by Getty Images

日本サッカーの現在地と課題

図版0802
【図1】ゾーンを3分割した上での守備設定

 リオデジャネイロ五輪開幕直前の親善試合でネイマール擁するブラジル代表と対戦したサッカー日本代表ですが、0-2というスコア以上に「世界との差」を痛感する内容でした。今回はそのブラジル戦でのリオ五輪日本代表の守備を分析しながら、日本サッカーの現在地と課題について述べていきます。

 私が守備のプレーモデルを分析する際、ゾーンを3分割した上で以下のどの守備設定になっているかを見ていきます。

(1)ゾーン3で積極的にプレッシングを実行する守備
(2)ゾーン2でブロックを形成して待つ守備
(3)ゾーン1に押し込まれゴール前を守る守備

 ちなみに、現代サッカーにおける守備(組織的プレッシング)は3つの状況に分けて「使い分け」されています。ブラジル戦での日本の守備設定は(2)でした。手倉森誠監督が「耐えて勝つ」と公言している通り、この試合での日本の守備からは「耐える」というキーワードが色濃く出ていました。

 相手が優勝候補のブラジルということでリスペクトはあって当然ですが、チーム全体が構えて1対1のマッチアップで飛び込まない、ズルズル下がるだけでプレスに行かない守備でぼかせる、何とかなるのは国内とアジアまでです。

 日本でよく見るのですが、少し格上の相手になると監督が「プレスに行ってもどうせやられるから飛び込むな」という指示を出してプレスのかからない守備をするチームがあります。ブラジル戦の日本の守備はまさにそうでした。

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