久保裕也、五輪招集断念の背景。男子サッカーの特殊性。連盟間の温度差、クラブの利害

2016年08月04日(Thu)11時22分配信

text by 藤江直人 photo Asuka Kudo / Football Channel, Getty Images
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ヨーロッパにおけるオリンピックのステータス

霜田正浩ナショナルチームダイレクター
霜田正浩ナショナルチームダイレクター【写真:工藤明日香/フットボールチャンネル】

 ヨーロッパ組である久保と南野のオリンピック本大会への招集に関しては、霜田ダイレクターが4月に2人の所属クラブを訪問。交渉を重ね、信頼関係を築いたうえで合意を取りつけていた。

 もっとも、あくまでも“約束”であり、FIFAのカレンダー上で公式戦と位置づけられていないオリンピックにおいては、各国のサッカー協会はクラブに対して所属選手を拘束する権利をもたない。

 日本協会はJクラブの強化担当者と交渉を重ね、オーバーエイジを含めて1クラブ最大3人まで招集できる、という取り決めを前回のロンドン大会から導入している。

 しかし、海外クラブに所属する選手に関しては、いわゆる紳士協定にすがるしかなかった。久保の一件のように、チーム事情を理由に派遣を拒否されれば、もはやなす術なしとなるのが偽らざる現状だ。

 もちろん、一度は招集を決めた選手を断念したのは日本だけではない。日本と同じグループBのスウェーデンは、7月23日にFWヨーダン・ラーションの派遣を所属するヘルシンボリから断られている。

 スウェーデンサッカー界の英雄、ヘンリク・ラーションの息子であるヨーダンを含めて、スウェーデン五輪代表チームへの招集を辞退した選手は実に50人を超えている。異常な数といっていい。

 日本時間5日のグループリーグ初戦で対戦するナイジェリア五輪代表も、FWアレックス・イウォビ(アーセナル)、FWケレチ・ヘナアチョ(マンチェスター・シティ)らの招集に失敗している。

 いずれも所属クラブが首を縦に振らなかったためだ。田嶋会長は久保の件に関して「サッカー仲間としてどうなのか」と疑問を呈してもいるが、そうした“情”がまったく入り込む余地がないほど、ヨーロッパサッカー界におけるオリンピックのステータスは低い。

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