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日本代表 8年前

【英国人の視点/リオ五輪サッカー】手倉森Jが不安定だった理由。不可解な人選と4-4-2放棄、チームの核にも甘さ

text by ショーン・キャロル photo by Getty Images

足りなかった中央での抵抗力。指揮官は頭を悩ませていたのでは?

 五輪で認められた3つのOA枠をフルに活用したいのであれば、堅実であっても面白みのないJリーガーよりは、チームに冷静さをもたらしたり、クオリティーを加えたりしてくれる興梠のような選手の方が望ましいことは間違いない。

 森重真人や阿部勇樹、中村憲剛(川崎フロンターレでは大島僚太とのコンビで好プレーを見せており、ブラジルでも同じことができたかもしれない)、あるいはいっそのこと中村俊輔のような選手を説得してリオに向かわせることもできたはずだし、若い選手たちがナイジェリア戦やコロンビア戦で平常心を失ってしまったような状況でも、彼らならチームに必要な落ち着きをもたらしていたことだろう。

 よくあるケースではあるが、実際のところリオで日本に足りなかったタイプの選手は、チームの中心軸であるセンターバックや中盤の底の部分に抵抗力を生み出してくれるような中盤の選手だった。

 2010年南アフリカW杯は、近年で最も、というよりおそらくは日本のサッカー史上で最も、日本代表が良い戦いを見せた国際大会だった。この時は田中マルクス闘莉王と中澤佑二がディフェンスの中央で堅固なコンビを組んでいたし、長谷部誠と遠藤保仁の後ろには阿部が入ってもう1枚の盾となり、ボールを奪い返しては攻撃の選手たちへと供給していた。

 2012年五輪の関塚監督のチームでは、吉田と鈴木のコンビの前に、セレッソ大阪のチームメート同士である山口蛍と扇原貴宏がいた。2人がお互いをよく知り理解し合っていたことがチームにバランスをもたらし、清武弘嗣や大津祐樹、永井謙佑といった選手たちは攻撃に専念することができていた。

 今回、手倉森監督は中央に置くファーストチョイスのコンビを誰にすべきなのか最後まで確信できなかった様子だった。

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