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アジア 8年前

韓国代表デビュー狙うオ・ジェソク。「加地さんのおかげ」。ガンバで成長したDFの感謝

text by 藤江直人 photo by Getty Images

ガンバ大阪加入時に立てた「誓い」

U-23韓国代表としてロンドン五輪に出場したオ・ジェソク
U-23韓国代表としてロンドン五輪に出場したオ・ジェソク【写真:Getty Images】

 関塚隆監督に率いられたU-23日本代表と激突したロンドン五輪の3位決定戦を制し、韓国サッカー界にとって初めてのメダル獲得に貢献したオ・ジェソクは、翌2013シーズンに韓国Kリーグの江原FCから完全移籍でガンバに加入した。このとき、ある“誓い”を立てている。

「ガンバで必死にプレーして、3年後にはA代表に選ばれるくらいの選手に成長したい」

 努力を積み重ねた証として青写真を成就させただけに、オ・ジェソクが募らせた無念さは察するにあまりある。運命を恨みたくなる思いにも駆られたはずだが、韓国から応援してくれる家族が悲しみを共有してくれたことを知り、母の涙を再出発へのエネルギーに変えた。

 約5ヶ月後の8月22日。中国代表戦と中立地のベイルートで行われる9月6日のシリア代表戦へ向けて招集された21人のメンバーのなかに、再び自分の名前が含まれていた。オ・ジェソクは再び家族へ電話を入れた。受話器の向こう側から、母は号泣しているのが伝わってきた。

「今回は特に母が喜んでくれて。家族の熱い応援に恩返しすることができました。ガンバに来て今年でちょうど4年目。いろいろなタイトル獲得を経験できたこともあるけど、素晴らしい選手たちと一緒に練習しているだけで、自分が成長している姿を確認することができた。本当にいい時期に代表に選ばれることができて、ガンバの監督、スタッフ、そしてリームメイトたちにも感謝の思いでいっぱいです」

 ガンバでは2年目の2014シーズンから台頭。屈強なフィジカルを生かした守備力を武器に、左右両方のサイドバックを務められるユーティリティーさで、同シーズンの国内三冠独占に大きく貢献した。

 ともにハリルジャパンに選出された実績をもつ右サイドバックの米倉恒貴、左の藤春廣輝と熾烈なポジション争いを演じられる存在になるまでの軌跡を、オ・ジェソクが加入した2013シーズンから指揮を執る長谷川健太監督はこう振り返る。

「韓国ではどうしても人への強さを求められるんですけど、日本に来てからまずチャレンジ&カバーという動きを覚えましたよね。なかでも一番変わったのは、何でもかんでもバンバン攻め上がっていたのが、非常にタイミングよく上がるようになったこと。加えて、やはり外国人選手ですから当初はいろいろと苦労しましたけど、本人がそういうものを乗り越えたことで、精神的にもたくましくなったと思います」

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