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マンチェスターダービーに潜む“危険性”。似た者同士のモウリーニョとペップ、腐れ縁が導いた「監督対決」

text by 山中忍 photo by Getty Images

似た者同士の両監督。鍵を握るのはイブラヒモビッチ?

イブラヒモビッチ
ダービーで鍵を握りそうなズラタン・イブラヒモビッチ【写真:Getty Images】

 筆者は、両監督を似た者同士だと思っている。かつてグアルディオラは、「同じ穴の狢だと思われるようなら行動を改めなければ」と言って同一視を嫌っていたが、個人として似ていると言うつもりはない。だが監督としては、常に試合のことが頭から離れない「フットボールマン」、緻密でも大胆でもある「タクティシャン」、そして勝たなければ気が済まないという、シリアル・キラーならぬ「シリアル・ウィナー」という本質が共通している。

 モウリーニョが、過去に「ペップは正当な手段でCL優勝を果たしたことがない」とまで言っているのも、自分と“ボンド”は変わらないという思いが本人の胸の中にあるからではないだろうか?

 そのモウリーニョが、グアルディオラとのマンチェスター・ダービーで先勝を収めるためのキーマンは、ズラタン・イブラヒモビッチになるかもしれない。ユナイテッドの新1トップは、決して多くはない決定機を逃さずに開幕3戦で計3得点。大物らしく仕事をしている。

 シティ戦でもチャンスの数は限られるだろう。シティは、攻勢が前提のグアルディオラ体制下でパスのテンポが増したように見受けられるが、前節後半にウェストハムの反撃をしのいだようにしぶとさも身に付けつつある。同じ第3節でのイブラヒモビッチには、開幕から先発フル出場が続いた疲れを感じたが、スウェーデン代表から退いている34歳は2週間の充電期間を経てダービーに臨む。

 もちろん、グアルディオラも勝ちにいく。「彼も、そして私も勝ちたいと思っていることは言わなくてもわかっているだろう?」という、モウリーニョも言いそうな開幕前の発言で示唆したプレミア優勝を実現する上で、敵地でのユナイテッド戦勝利は強力な推進力となる。

 例年、序盤戦での対決に勝敗の意義は薄いと言われるが、来るマンチェスターでの「監督ダービー」は別だ。地元の両軍サポーター間で声が上がっているように、「優勝の行方を左右する一戦」ともなりかねない。特に、モウリーニョのユナイテッドにとっては。

(取材・文:山中忍【ロンドン】)

【了】

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