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Jリーグ 8年前

最下位転落も貫く「湘南スタイル」。次のステップに向け、監督と経営者が共有するビジョン

text by 藤江直人 photo by Getty Images

「絶対」をもつことで相手に講じられる対策

 悲願のJ1残留を果たし、さらなる高みを目指して臨んだ今シーズン。曹監督が貫く「絶対」をもってしても、目の前にそびえる壁を乗り越えることのできない苦しい戦いが続いている。

 アビスパ福岡をホームのShonan BMWスタジアムに迎えた17日のセカンドステージ第12節は、残り6試合となった今シーズンの戦いのなかでも、非常に重いウエートを占めていた。

 キックオフ前の時点で、年間総合順位でベルマーレは17位、アビスパは最下位の18位とともにJ2への降格圏をさまよっていた。加えて前者は9連敗、後者も5連敗と文字通りの泥沼にあえいでいた。

 果たして、勝利の雄叫びをあげたのはアビスパだった。開始34秒で獲得したPKをFW金森健志が決めて主導権を握り、15分にはFW平井将生が目の覚めるようなスーパーミドルをゴール右隅に突き刺した。

 もっとも、この場面でもベルマーレは「絶対」を実践しようとしている。左タッチライン際でパスを受けたベルマーレ出身のDF亀川諒史に対して、キャプテンのFW高山薫が激しいタックルを仕掛ける。

 それをかわされた直後には右ワイドの藤田征也、ボランチの石川俊輝の2人で止めにかかっている。しかし、2人の間を測るようにパスを通し、平井のゴールをお膳立てした亀川は試合後にこう振り返っている。

「ベルマーレの選手は球際に激しく来るのがわかっていたので、食いつかせてかわせれば一気に置いていけるという分析が自分のなかにありました。(その後は)僕のところに2人が取りに来ようとしていたので、その間にうまくパスを出せれば、(平井)将生さんがターンできるスペースが見えていたので」

 J1での戦いも2シーズン目になれば、ベルマーレの戦い方も把握され、チームやあるいは選手個々があらゆる対策を講じてくる。亀川の言葉は、それを端的に物語っていたといっていい。

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