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代表 8年前

豪州側から見た日本戦。元代表選手、現地記者らが語る「ライバル」との大一番

text by 舩木渉 photo by Wataru Funaki , Getty Images

「アンジはチームの哲学を変えた」。豪州を支配する自信

 ヨーロッパでプレーしている選手が多く、酷暑のサウジアラビアから移動してきたとあって時差ぼけなどに悩まされているのはクルーズとユリッチも認めた。しかし、2人ともアンジ・ポステコグルー監督が作るチームには大きな手応えを感じている。

「ここまでのも予選の試合や、実績のある国との親善試合でも、ボール保持で上回ってゲームを支配することができている。チームとして大きな成長を見せているし、まだまだ伸びると思う。火曜日にそれを日本相手に試してみたい。

 アンジはチームの哲学を変えた。いつも、彼からは何かしら学ぶことがあり、強い信念に培われた彼の哲学が浸透してきて、ただのパワフルなサッカーだと思われていた我々が今は”良い”サッカーをする、ポゼッションを取って、狭い局面でのプレーの精度とか上手くできている。日本と似たようなことをやるんだから、とても面白い試合になることは間違いない」(ロビー・クルーズ)

「サッカーは日々変化している。どのチームだって、勝つために、相手を走らせて疲れさせるためにボールをできるだけ保持するようにプレーする。(ポステコグルー監督は)素晴らしいね。彼は信念を持ったコーチ。それを曲げることなく進んでいる。彼みたいな素晴らしいコーチが後ろから支えてくれるのは心強い」(トミ・ユリッチ)

 クルーズとユリッチが語るように、オーストラリア代表はこれまでのイメージとは全く異なるチームに変貌を遂げている。ポステコグルー監督は世代交代を進めながら、フィジカルの強さと高さを生かした放り込みを中心としたスタイルから、中盤でボールを支配しながら攻めるポゼッション重視のスタイルへとチームを変えていった。

 元々あったフィジカルの強さは失われておらず、途中から出てくるティム・ケーヒルのようなリーダーシップとゴール前での怖さを備えた脅威も健在だ。

 オーストラリアは着実に進化し、チーム内外には自信が満ち溢れている。日本が「今までと同じ」と高を括って新たなスタイルへの対策を怠る、調整に失敗して万全の状態でないなど不安を抱えて試合に臨めば、確実に足元をすくわれてしまうだろう。勝敗を決めるのはディティールの中に潜むごくわずかな差だ。

(取材:植松久隆・舩木渉、文:舩木渉【メルボルン】)

【了】

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