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日本代表 8年前

【識者の眼】ハリルJが披露した戦い方のベース。相手に応じた戦術。機能性を優先することのネック

text by 河治良幸 photo by Getty Images

「成長するためにもこの戦いを」

2010年のブラジルW杯は、スタイルを貫き“惨敗”に終わった
2014年のブラジルW杯は、スタイルを貫き“惨敗”に終わった【写真:Getty Images】

「サウジアラビア戦はまた違った戦い方になると思います」と長谷部キャプテン。あくまでオーストラリアとのアウェイ戦に適した戦い方を見出した結果であり、親善試合のオマーン戦やホームのサウジアラビア戦となれば、また変わってくるはずだ。

 ブラジルW杯で日本代表を率いたアルベルト・ザッケローニ氏は監督就任当初、しばしば「カメレオンのように戦う」とメディアに語っていたが、ある時からその言動を止めた。最終的には“自分たちのサッカー”と言われる日本らしい攻撃スタイルを突き詰めてブラジルW杯に臨んだが“惨敗”に終わった。

 ザッケローニ氏がなぜそのような判断にいたったのか。そこに日本の良さを見出したからか、多様な戦い方を植え付けるには代表チームは準備期間が無かったのか、あるいは選手たちの自主性をより尊重するスタンスを取ったのか明確にはわからないが、3つの試合で違ったパターンの問題に当たった。

 コートジボワール戦では中盤でボールを回させてもらえず、ギリシャ戦では逆に強固な守備ブロックの手前でボールを回させられるような状況でディフェンスを崩しきれなかった。そして全てをかけて挑んだコロンビア戦は崩しの部分で最も可能性を見出したが、前掛かり的な日本の攻撃意識をむしろ利用され、カウンターからいいように決定機を作られた。その3試合を経験した岡崎慎司は「自分たちで(ボールを)回すのもそうだけど、結果それでW杯は勝てなかった」と語る。

「今はそこから脱皮するじゃないけど、そこから成長するためにもこの戦いを。(戦術的な)臨機応変さは必要だと思うんですけど、そういう戦いが必要な時に自信になる」

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