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日本代表 8年前

【識者の眼】ハリルJが披露した戦い方のベース。相手に応じた戦術。機能性を優先することのネック

text by 河治良幸 photo by Getty Images

目指すゴールはアギーレと大きく違わないはず

ブラジルW杯後、2015年のアジアカップまで日本代表を率いたハビエル・アギーレ監督(左)
ブラジルW杯後、2015年のアジアカップまで日本代表を率いたハビエル・アギーレ監督(左)【写真:Getty Images】

 アギーレ前監督も、技術委員会がそうした状況を見据えて招聘した指揮官だったが、半年間で選手のテストも含めてチームのベースを作り、その成果をアジアカップで見極めて、その後のチーム作りに生かそうかという段階で“八百長疑惑”が起こり、アジアカップの準々決勝での敗退を喫した直後に契約解除となってしまった。当時のアギーレの戦い方がハリルホジッチより面白かったという意見をよく見るが、チーム作りを線でイメージしてほしい。

 就任から半年間、現在のハリルホジッチ監督と違い、アギーレ監督は合宿中のミーティングを30分から長くても45分程度で行っていたそうだが、ある記者会見でその質問が出た時に「それは時と場合による。私は必要なら2時間だってやる」と回答した。

 つまり、その時が来ていなかったのだ。メキシコ代表を率いた2010年W杯では4試合全てで対戦相手に応じて異なるシステムと配置で戦ったアギーレ氏だけに、強化のアプローチは違っても、本大会に向けて目指すゴールは大きくは違わなかったはず。

“全員が攻守に関わる”というベースをできる限り高め、そこに対戦相手の分析による戦い方の変化を加える。基本的に“堅守速攻”というイメージで大きな間違いはないが、時にはポゼッションを許容することもあるだろう。それを“一貫性が無い”という見方もあるかもしれないが、対戦相手を分析して指揮官が考える最適な戦い方をチョイスしていくというスタンスこそが一貫性と言える。

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