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日本代表 8年前

【識者の眼】U-19代表の勝因。鬼門だったアジア、過去最も“大人しい”チームはなぜ突破できたのか?

text by 河治良幸 photo by Hiroyuki Sato

ゴールまでのプロセスをチームで共有

 8分の先制点の起点となる縦パスをFW小川航基に送り届けた市丸瑞希は「右にのぞかせておいたら、あそこが空くのはだいたい分かっていたので、小川とも話していたので狙い通りでした」と振り返る。左の組み立てから中央でボールを受けた市丸は5バックの右SBと右ストッパーの合間に飛び出す小川に正確なロングパスを通した。

 小川のヘディングはゴール右ポストに当たって跳ね返ったが、岩崎悠人が詰めて相手DFの苦し紛れのクリアを誘発すると、右サイドハーフの堂安律が素早くショートクロスを上げ、再びファーサイドで小川がヘッドを合わせた。

 市丸の縦パス、小川のヘッド、岩崎のスピード、堂安の技術といった要素が結び付いたゴールだが、そこにいたるプロセスを事前にチームで共有していたからこそ生まれたゴールだった。

 2点目(18分)は、相手のドリブル突破を市丸が阻止したところから、DFの冨安健洋がダイレクトで左のスペースに送り込み、縦に仕掛けた三好康児のサイドチェンジパスを逆サイドで受けた堂安が柔らかいトラップから左足を振り抜き、芸術的な弧を描いてゴール左に吸い込ませた。

 2点をリードしたとところから試合がやや落ち着いたが、そこも「慌てる必要もぜんぜん無かった」と市丸が語るように、選手たちの状況判断がもたらした流れでもある。しかし、後半に向けては2-0という難しい点差からいかに3点目を取るかをチームで確認して後半戦に入っていた。

「2-0は危ないというかまだ安心できない点差なので、本当に次の1点を大事にしよう」

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