分かりやすい差別と分かりにくい差別
去る11月15日、2018年ロシアW杯アジア最終予選、日本代表対サウジアラビア代表の試合が埼玉スタジアムで行われた。試合は2-1で日本が勝利したが、ピッチ外である監視を行っていた団体があった。「反レイシズム情報センター(以下、ARIC)」という団体だ。
ARICは都内の大学生や大学院生、研究者などを中心に活動するヘイトスピーチ(差別煽動)や人種差別に反対する団体。ボランティアを含めて約40人が所属している。ARICは9月のUAE戦や10月のイラク戦などでも差別行為の監視を実施。ホームページには、「ヘイトスピーチの具体例と解説」を明記した上で通報フォームも設置し、自分たちの調査だけでなく一般ユーザーからの通報も受け付けられるようにした。
代表である在日コリアン三世の梁英聖(リャン・ヨンソン)氏は、「『殺せ』や『ゴキブリ』のようなヘイトスピーチは、誰にでも『差別だ』とはっきりと分かる。でも、そこまでは酷くない差別は、一般の人には見えにくい。日本にはどこからが差別でどこまでが区別なのかを分けるNGラインが無いからです。ARICは国際基準の差別NGラインを見るようにしていきたい」と語る。実態を把握し、今後差別を減らしていくことが活動の目的だ。
実際にどのような実態があったのか。分かりやすい数字としてはサウジアラビア戦でのTwitter上でのものだ。15日19時から試合終了までの21時35分頃まで実施。「疑わしいもの」に分類される投稿は256件あったという。
特に目立ったものとしては「サウジ人は乱暴」といったものや、選手名をアメリカ同時多発テロ事件の主犯ウサマ・ビンラディンと関連付けるもの。また、「土人」という投稿は46件あったという。