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Jリーグ 7年前

Jリーグクラブライセンス事務局の暴挙。不可解な人事介入を追う【前編】

text by 木村元彦

社長とGMのADパスの回収などを指示

I氏から送信されたメール
【資料3】。上がJリーグクラブライセンス事務局(当時)のI氏から送信されたメール。下が添付されていたFC岐阜の作業一覧。しっかり今西、服部の“辞任”が作業に入れられている。【写真:フットボール批評編集部】

【資料3】を見ていただきたい。これは8月30日にJリーグクラブライセンス事務局(当時)のI社員(すでにJリーグを退社)から、岐阜県商工労働次長、教育生活課、FC岐阜の総務部長と営業部長の元にCCで「FC岐阜の作業一覧」という添付リストとともに送られてきたメールである。

 明日31日に社長とGMのADパスの回収、9月5日までに今西・服部の辞任届の提出など、即座に会社から追い出すことを目的とした作業がしたためられていた。「いろいろと打ち合わせ、情報共有させていただきたいと思います」との一文が最後にあり、彼らが内通者同士であることが語るに落ちている。ご丁寧にも「必ずです!!忘れてはいけません!!」との念押しがされている。

 これを受け取ったFC岐阜の新経営陣は完全に萎縮した。唯々諾々と要求に従い、以降、今西に対しては極めて冷淡に当たり、顧問という肩書きを与えたが、事務所の机もパスも没収し、試合場の選手エリアへの入場も禁じた。今西にアウェイ用のパスを出そうとした職員は新社長から「ライセンスが下りなくなったらどうするんだ」と言われたという。

 一体、Jリーグに何の権利があって、クラブの自治を侵害し、犯罪を犯したわけでもない顧問のスタジアムへの入場を拒むのか。今西が選手をことさら大切に思う人物であることは論をまたない。酷いことにその激励の接触すら、阻んだのだ。

 Iはその後、酒席で他クラブのスタッフを前に「今西をクビにしたのは俺だ」と自慢気に吹聴していたという。勘違いしているが、クビにしたのはIではなく、ライセンス制度という権力装置である。Jリーグという機構がクラブに対して行った恥ずべき介入の事実である。

 クラブライセンス事務局は「ガナバンス」を二言目には強調してきたが、公益社団法人が許認可権を振りかざして民間企業の経営に口を出すことこそがそのガバナンスの崩壊である。再度繰り返すが、しかも解任の理由が、「消極的」という主観的な理由である。

 これについては常日頃、高圧的なライセンス事務局に対して従順ではない今西と服部に対する報復だったと言う人物さえいる。こんな恣意的なことがまかり通れば日本中のJクラブの人事はライセンス事務局に統制されてしまう。

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