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Jリーグ 7年前

鹿島加入の東福岡・小田逸稀にかかる期待。左SBで孤軍奮闘中の山本脩斗と“伝統の”競争へ

 二冠王者・鹿島アントラーズが、新シーズンへ向けて積極的に新戦力を補強している。Jリーグ屈指のボールハンター、MFレオ・シルバ(アルビレックス新潟)をはじめとする即戦力だけでなく、今春に高校を卒業するホープたちの加入も内定。特に先の第95回全国高校サッカー選手権大会にも出場した小田逸稀(福岡・東福岡)には、31歳のベテラン・山本脩斗が孤軍奮闘している左サイドバックのバトンを引き継ぐ存在になってほしい、という期待がかけられている。(取材・文・藤江直人)

text by 藤江直人 photo by Taisuke Nishida, Getty Images

国内二冠も積極補強の理由

 2016シーズンの終盤戦に無類の勝負強さを発揮して、J1年間チャンピオンと天皇杯の国内二冠を獲得した鹿島アントラーズがこのオフ、近年になく積極的に新戦力を補強している。

 すでにFWペドロ・ジュニオール(ヴィッセル神戸)とMFレオ・シルバ(アルビレックス新潟)のブラジル人コンビ、FW金森健志(アビスパ福岡)、DF三竿雄斗(湘南ベルマーレ)が完全移籍で加入することが決定。12日にはブラジル代表歴をもつ23歳のアタッカー、レアンドロ(パルメイラス)が期限付き移籍で加入することも発表された。

 積極補強の背景には、現状に対する危機感がある。2016シーズンはファーストステージを制し、最終的に二冠を達成したとはいえ、セカンドステージでは11位に低迷。連覇がかかったYBCルヴァンカップ(前ヤマザキナビスコカップ)でも、グループリーグで1勝しかあげられずに姿を消している。

 強化部長職に就いて今年で22年目を迎えたアントラーズの生き字引的存在、鈴木満常務取締役は現時点におけるチーム状態をこうとらえている。

「天皇杯決勝までの1ヶ月ちょっとは素晴らしいサッカーをして、タイトルも2つ取ることができた。すごく成長している部分はあるけれども、ひとつサイクルが乱れるとセカンドステージやYBCルヴァンカップのようなサッカーになりうるチームだと思っている」

 特に本当の意味での実力が問われるリーグ戦における勝ち点を見ると、3連覇が途切れた2010シーズン以降は「60」が最多となっている。一時期の低迷状態からは脱出したとはいえ、2016シーズンも「59」で年間勝ち点1位の浦和レッズの「74」、同2位の川崎フロンターレの「72」に大差をつけられた。

 実際、天皇杯決勝後にはディフェンスリーダーの昌子源も「チャンピオンシップを取った勢いでここまで来られたけど、なかったら本当に難しいシーズンだった」と偽らざる胸の内を明かしてもいる。再び1ステージ制へ戻る2017シーズンへ向けて、鈴木常務はこんな青写真を描いている。

「そこ(勝ち点60)の壁を打ち破れないでいる状態から、チーム内の競争をもっと激しくするような補強をして、昨シーズンのように上手くいけば勝てるチームではなくて、力で勝てるチームを目指していきたい」

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