「7番と10番だけは俺が決める」(名波監督)
「新加入選手の会見で『10番・中村俊輔』ってやりたいね」
昨シーズン最後の全体練習が行われた11月26日、名波浩監督はそう言って笑った。この時すでに、ジュビロ磐田が獲得に動いていると報道されていたが、横浜F・マリノスは天皇杯を残しており、何かが発表されたわけではない。それでも、指揮官は願望や期待を込めて冒頭の言葉を口にした。
「7番と10番だけは俺が決める権利を持っていて、あとは全部ハット(服部年宏強化部長)で。今回のためというわけではないけど、来てくれればもちろん(10番)。この番号が空いているクラブなんてほぼないからね」
そして、年が明けた1月8日、中村俊輔の加入が発表された。名波監督の“宣言”通り、背番号は10に決まっている。
ヤマハスタジアムでの記者会見室は、人で溢れかえった。
13日に行われた新体制発表会見は当初、メディア関係者が自由に出席できる形に設定されていた。それが3日前に急遽、事前申請が必要になった。そうしなければ多くの人が会見場に殺到してしまう、というクラブの判断だった。
それでもペン記者は50社100人、テレビカメラ15台という盛況ぶり。中村俊輔の加入がなければ、こうした状況にはならなかっただろう。多くの関心を集めるだけの選手であることが改めて示された。
サックスブルーの一員となった元日本代表10番がどのような抱負、決意を述べるのか。発せられる言葉を聞き逃すまいという空気が漂い、彼がマイクを握るたびにシャッター音が室内に響いた。