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吉田麻也がリーグ杯決勝を戦った意義。ベスト11にも選出、日本人CBの先駆けに【海外組の真価~日本人選手の現在地】

これまで日本代表をけん引してきた選手たちが所属クラブで出場機会を失い、踊り場にあるように思える日本サッカー。いま改めて海外組の現在地を探っていきたい。今回取り上げるのは、サウサンプトンの吉田麻也。マンチェスター・ユナイテッドに2-3で敗れてタイトル獲得を逃してしまったものの、大会を通じて吉田は安定したパフォーマンスを披露し、大会ベストイレブンにも選出されるなど高い評価を得ている。フットボールの聖地と称されるウェンブリー・スタジアムでのカップ戦決勝で日本人選手として始めて立ったことは、非常に意義深いことである。(取材・文:Kozo Matsuzawa / 松澤浩三【イングランド】)

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images , Kozo Matsuzawa

大会ベストイレブンに。準決勝まで安定したプレーで完封に貢献

吉田麻也
決勝戦でも先発出場したサウサンプトンの吉田麻也【写真:Getty Images】

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 2月26日、聖地ウェンブリー・スタジアムでリーグカップ決勝が行われた。サウサンプトンは、準々決勝ではアーセナル、準決勝ではリバプールと立て続けに強豪チームを打ち破ってファイナル進出を果たした。対するはマンチェスター・ユナイテッドだ。

 クロード・ピュエル監督率いるチームは、ここまで大会を通じて無失点を貫いてきた。そんな鉄壁守備陣の中心に、常にあったのが吉田麻也の姿であった。

 プレミアリーグ所属のクラブは3回戦以降から登場したわけだが、吉田はその初戦となった2-0で勝利したクリスタル・パレス戦を含めて、同大会では5戦連続フル出場(リバプール戦はホーム&アウェイの2試合)。

 ジョゼ・フォンテ、フィルジル・ファンダイク、そしてジャック・スティーブンスとディフェンスパートナーは変わったが、吉田自身は安定感抜群のパフォーマンスを維持してチームに貢献し続けた。

 特にチームのタリスマンであるファンダイクがリバプールとの第1試合目の途中で負傷退場すると、吉田は23歳の若手DFスティーブンスとコンビを組むことを強いられた。しかしアウェイでの第2試合でも秀逸なパフォーマンスで強力攻撃陣をシャットアウトし、そのプレーぶりは識者からも称えられた。

 決勝当日に発売されたオフィシャルマッチプログラム内でも、合計450分間にわたり失点を許さなかった堅守をけん引したと評価されて、大会ベストイレブンに選ばれている。

 そして迎えたファイナル。8万人を超えるサポーターが集まった満員のウェンブリーで、サウサンプトンは1976年のFAカップ以来41年ぶりとなるタイトルを目指した。この大舞台でも吉田は当然のようにチームシートに名を連ね、ピッチで存在感を発揮した。

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