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Jリーグ 7年前

磐田・中村俊輔が模索する最適解。位置取りの試行錯誤。開幕2節で見えた課題

text by 青木務 photo by Getty Images

『2017年版ジュビロ磐田』の完成形は?

 仙台戦、相手ゴールに迫ったのはカウンターからで、本当の意味での決定機はセットプレーのみ。とはいえ、前半は中村俊輔が前にいる効果もあった。単純に前方のパスコースが多くなる。そこへボールを付け、レフティーが相手DFラインとボランチの間で受ける場面があった。守備から攻撃に移り、彼がゴールに近いエリアで前を向ければ相手の脅威となり、活かされてこそ真価を発揮するタイプの川又にとっても心強いだろう。

 最初の45分間で見せたサッカーをアベレージとし、チャンスの回数を少しずつ増やしていければ、指揮官の言う「相手ゴール前のスリリングな場面を多く作る」状況を創出できるのではないか。

 問題意識を抱えつつ、中村俊輔は「今日の試合が間違いじゃない」とも話している。チームが向上するために何をすべきかを考えているからこそ、あらゆることに目を向けられる。そして、前線で能力を発揮し攻撃をけん引した事実は間違いなくポジティブな要素だ。

 新トップ下がどのように味方を活かすかという点は、今後もしばらく大きなテーマとなる。下がってゲームを作るのなら、周囲はそれに呼応して空いたスペースへ臨機応変に侵入すべきだ。そうした連係は選手間のイメージの共有が不可欠で、間で受ける意識を強く持たなければならない。

 中村俊輔が前線に留まるにしても、味方との距離感が悪ければ有効な攻撃は繰り出せない。彼のパフォーマンスは勝利に直結するだけに、様々な可能性を排除せず追求したいところだ。

 リーグ戦はすでに始まったが、最適解を導き出すまでとことんトライすべきだろう。ポイントは多岐に渡るが、それらをクリアした先に『2017年版ジュビロ磐田』の完成形があるはずだ。

(取材・文:青木務)

【了】

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