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歴史的逆転劇くらったPSGの悲哀。屈辱、恥、大惨事…失望のフランスメディア

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

バルサ戦の戦犯にあげられたチアゴ・シウバ

 個人的にはアル・ケライフィ会長自身はエメリ監督の残留を望んでいるという感じがするが、彼に決定権があるわけではないので微妙なところ。レキップ紙などメディアの間では、ディエゴ・シメオネやマッシミリアーノ・アッレグリらの名前が次期監督候補に挙がっている。

 次に指摘されている問題点は、現チームの限界説だ。

 実際、今年のチームを見ていて思うのは、リーダー不在。主将はチアゴ・シウバだが、彼はグイグイ引っ張るというタイプではない。その場にいるだけでリーダーシップがあったイブラヒモヴィッチも去ったいま、クルザワやマルキーニョス、ルーカスといった若手やムニエなどの新加入の選手たちには精神的に頼れる支柱の存在が必要だと感じる場面が、国内の試合でもたびたびある。

 このバルサ戦のあと、お通夜のような雰囲気だったロッカールームで、ただ一人声を出して鼓舞しようと努めていたのはマクスウェルだったらしい。しかし彼も今季はサブ要員で、ピッチ上ではその役を務められない。

 その意味もあってこのバルサ戦での敗戦で戦犯にあげられているのはチアゴ・シウバだ。前半のガッツリ引いてのブロックディフェンスは、常にGKの前に張り付いていた彼のせいであり、エメリは必死にラインをあげようと指示を送っていたがシウバが引いているために他も下がらざるを得なかった(そのわりに失点は防げていない)、と。

 シウバは軽い負傷のため1stレグを欠場しており、そのときは若いキンペンベが出場した。『スピードのあるキンペンベとマルキーニョスのコンビのほうが機能していただろう。シウバを起用したのはエメリの失策』という意見もテレビや新聞の分析コーナーでさんざん取り上げられている。

 これでカンプ・ノウの雰囲気にキンペンベが飲まれたりしていたものなら、「ベテランのシウバを使うべきだった」となるだろうからこの起用説は”タラレバ話”でしかないが、シウバはこの試合に限らず、14年のW杯後のシーズンに精神面の弱さを露呈してから、信用を回復できずにいる。

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