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歴史的逆転劇くらったPSGの悲哀。屈辱、恥、大惨事…失望のフランスメディア

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

国内リーグに競合相手が乏しいことのデメリット

 そしてもうひとつ、大きく浮き彫りになりつつあるのが、フランスリーグのレベルについての疑問だ。

 PSGは、文句なしにリーグアンで最強のクラブであるが、その彼らが、100%の可能性を覆されて6-1で敗れるという失態を犯した今、メディアや識者、ファンたちは、ふと自分たちのリーグの立ち位置を考えてしまった。

 昨季まで3年連続でCLベスト8進出を果たしているといっても、蓋を開ければ、グループリーグでも強豪にはそれほど勝っていないという現実が浮かび上がる。

今季はアーセナル(いまやそこまで強豪でもなくなったが……)にホームで1-1、アウェイで2-2とともにドロー。昨年はレアルに1分1敗と一度も勝っていない。一昨年はグループステージでバルサとあたり、ホームでは3-2で勝ったが、カンプ・ノウでは3-1で敗れた。

そしてその前の年に立ち返ると、グループステージの相手はアンデルレヒト、ベンフィカ、オリンピアコス。いわゆるCL上位常連国はなく、しかもベンフィカには敵陣で敗れている。ラウンド16でレヴァークーゼンとチェルシーに勝利した以外は、強豪相手に敵陣で勝ったことはこれまでもないのだ。

彼らにとって大きなデメリットは、国内リーグに競合相手が乏しいこと。現在首位にいるモナコにしても、同じ週に両軍と対戦したマルセイユのDF酒井宏樹が「PSGはケタ違いに強い。モナコならプレスをかければまだボールは奪えるけれど、PSGの選手はいなしてきますから」と圧倒的な力の差を語るように、歴然とした力の差がある。

そんなPSGだから、彼らが相手の試合では、どのクラブも恥とも思わず完全に守備モードで応戦してくる。たまにマルセイユのようにプライドに賭けて真っ向勝負を挑んだりすると、5-1などと玉砕してしまう。いくらPSGでもガチガチの守備ブロック相手には思うような攻めはできないが、オープンゲームになればなるほど、真価を発揮できるからだ。

よって彼らにとってはCL戦だけが本来の姿で戦える場所ともいえるのだが、ふだんがそんな状況だから、試合中に相手の出方に合わせて臨機応変に戦術を変更するような経験はほとんどしていない。バルサ戦のように守備ブロックで戦うなどというのも、彼らにはめずらしい姿だった。

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