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小林祐希が拓いた新境地。ヘーレンフェーンの“頭脳”、実力で引き寄せた厳しいマーク【海外組の真価~日本人選手の現在地】

text by 中田徹 photo by Getty Images

代表は「おまけ」。さらなる成長とともに6月を目指す

小林祐希
3月の日本代表からは漏れた小林祐希。英気を養い6月を目指して再スタートを切る【写真:Getty Images】

 3月16日、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が選んだ日本代表メンバーの中に「小林祐希」の名前はなかった。フェイエノールト戦後、小林は思いの丈を打ち明けてくれた。

「代表はおまけみたいなもの。クラブチームで頑張って、結果を出して、試合に出続けていたら自然と選ばれる場所です。だけど、それを決めるのは監督の仕事ですから、俺がどうこう言うことではない。俺は試合のプレッシャーだけでなく、精神的なプレッシャーの厳しい中でやっている。

(ハリルホジッチ監督は経験のなさを懸念したが)今、経験し、今、感じているんだから、今、感じている人の方が強いでしょう。だけど決めるのは監督ですから、俺は文句はないです。代表に選ばえることは名誉なことだし、呼ばれたらやる準備は常にしておく。だけど選ばれなかったら逆に休めるし、自分の良かったこと、良くなかったことを整理できる時間になるし、家族や友だちと過ごしてリフレッシュする時間にもなる。どちらにせよ、有意義な時間になると思います」

 私は試合の前々日、ストレッペル監督に「祐希が代表チームに選ばれなかったのは残念だけれども、そのことをヘーレンフェーンは代表マッチウイークのチームビルディングで有効に使えるのでは?」と尋ねていた。すると指揮官は「落ち着け」と私を制してこう続けた。

「祐希は1年半プレーし続けているんだ。今、彼に必要なのは休息なんだよ」

 監督の思いを聞いた小林は少し感傷的になった。

「(今年に入ってからチームが)本当に勝ててない。俺はずっと監督から信頼してもらえて使ってもらえて、一番責任感を感じているので、彼の優しい言葉が逆に突き刺さりますね。そう言ってもらえるので、感謝したいです。代表は勝ってもらわないとね。2連勝が必要なので、メンバーどうこうじゃなく、出た選手がしっかり結果を出す。ハードワークする。戦う。それで負けたらしょうがない」

 UAE戦とタイ戦は仲間に託した。「休息もトレーニング」と捉えるオランダでしばし英気を養い、小林は6月の代表復帰に向けて歩みを始める。

(取材・文:中田徹)

【了】

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