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Jリーグ 7年前

磐田、静岡ダービーで見せた躍動感。松浦拓弥と川又堅碁が作り出す鮮やかな連係

text by 青木務 photo by Getty Images

川又の身体を張ったプレーと中盤と絡むプレー

ジュビロ磐田のFW川又堅碁。前線で身体を張り続けている
ジュビロ磐田のFW川又堅碁。前線で身体を張り続けている【写真:Getty Images】

 3得点全てに絡んだ中村俊輔、得点を挙げた森下俊、ムサエフ、川辺など、ダービーの主役は何人もいたが、最前線で身体を張り続けた川又堅碁の仕事も称賛されるべきだろう。

 シュートは1本だったが、先制点に繋がるFKを獲得したのはこのスキンヘッドのFWだ。さらに試合を決定づける3点目は彼のお膳立てから生まれている。中村俊輔にボールが入った瞬間、中央から右へ膨らんでパスを呼び込み、落ち着き払ったワンタッチパスで川辺をゴールへと導いた。

 相手CBに監視され、自由な時間は限られた。そうした中でも果敢に相手と競り合っては味方へボールを託す。「人に強いし、フィフティーな場面でもマイボールにできる」という松浦の言葉通り、川又が起点になることで攻撃の時間を増やし、相手を帰陣させた。

 さらに、少し低めの位置取りで中盤と絡むプレーも実践しているが、そこにはある成功体験があった。

 ロシアW杯アジア最終予選のためリーグ戦が中断していた3月26日、磐田はJ3のアスルクラロ沼津と練習試合を行っている。これに出場した川又は2列目と息の合った連係を見せ、状況に応じて臨機応変なプレーを披露した。

「ボールに絡みながらやろうと思っていた。ロングボールを自分が競ってとかもアリやけど、ボールの近くに自分も絡んでいこうと。自分が受けるというより、何というか、叩きながら出て行くイメージ」

 この練習試合には松浦も出場したが、互いの意図を感じ取りながらチャンスを作った。相手のカテゴリーは関係なく、重要なのは彼らが魅力的なコンビネーションを発揮したことだ。

 その好感触は静岡ダービーでも維持された。

 川又が孤立した時間がなかったとは言えない。だが、川辺→川又→俊輔と前線のユニットが少ないタッチでパスを繋ぎ、松浦のシュートに結びつけた41分のようなシーンも作り出している。それは、前節までには見られなかった形だ。

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