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Jリーグ 7年前

磐田、静岡ダービーで見せた躍動感。松浦拓弥と川又堅碁が作り出す鮮やかな連係

text by 青木務 photo by Getty Images

相手の勢いを削ぐ中村俊輔のセットプレー

ジュビロ磐田のMF中村俊輔。セットプレーの2得点を生んだほか、3点目の起点にもなった
ジュビロ磐田のMF中村俊輔。セットプレーの2得点を生んだほか、3点目の起点にもなった【写真:Getty Images】

 第4節を終えた時点で、磐田は無得点試合が3度もあった。ダービー直前の紅白戦では控え組に圧倒され、翻弄された。だが蓋を開けてみれば3-1で勝利だ。

 改めて痛感させられたのは、先制点の重みだろう。試合開始早々にリードを奪ったことで、チームに落ち着きが生まれた。その後は攻め込まれる時間もあったが、守備面での自信を深めるサックスブルーは慌てることなく対応し、2点目、3点目に繋げていった。

 相手の勢いを削ぎ、意気消沈させたのは中村俊輔の左足だった。本人は中で合わせてくれた味方への信頼感を口にしたが、『走り込めば絶対にいいボールが来る』と周囲に信じさせるだけのキックであることを日々、証明している。

 磐田が勝利した2試合は、前半序盤に先制点が生まれている。いずれもレフティーのセットプレーである。

 静岡ダービーが非常に重要な対戦だったことは間違いなく、大一番での歓喜は選手たちを安堵させ、次への活力を与えたことだろう。4万人以上のサポーターを前に選手たちはいつも以上に気合いが入っており、勝利のみが求められるプレッシャーにも打ち克った。今後はカップ戦も入るため多くの試合をこなさなければならない。連戦へ向かっていく上で、この山場を勝利で終えた価値は大きい。

 一方で、ダービーという“ストーリー”を抜きにして考えた時、浮かび上がるのはJ1復帰初年度のチームにしっかり勝てたという事実だ。磐田が昨シーズンを越える成績を狙うなら、上位グループ以外のチームからのポイント奪取は必須である。その意味でも今節の勝利は収穫となった。

 痺れる試合をモノにしたチームがやるべきは、好パフォーマンスの維持だ。次節、サックスブルーは日産スタジアムで横浜F・マリノスと対戦する。

(取材・文:青木務)

【了】

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