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Jリーグ 7年前

齋藤学が示した“10番”を背負う意味。中村俊輔の継承者が切り拓くマリノス新時代

text by 舩木渉 photo by Getty Images

2アシストの齋藤学が見せた“怖さ”。ゴールなくとも相手の脅威に

齋藤学
齋藤学は磐田戦で2アシスト。プレーの幅を広げ常に相手の脅威となっている【写真:Getty Images】

 齋藤はピッチ上でも違いを見せた。36分、左サイドでボールを持つと中村俊輔の目の前からマルティノスにピンポイントのクロスを送り、先制ゴールを演出。さらに73分、中央でコーナーキックからのこぼれ球を拾い、ペナルティエリア内でフリーになっていた金井貢史へやさしい浮き球のパスを送り、決勝ゴールの起点となった。

 2アシストという目に見える結果以上に、プレーも明らかに変化している。これまでのように左サイドに固執することなく、中央や逆サイドまで顔を出して攻撃のあらゆる局面に関与する。またドリブル一辺倒ではなく、相手と味方の動きを見極めて決定的なラストパスも出すことができる。対戦する選手からしてみれば怖くて仕方ないだろう。

 ボールを持った際の姿勢も以前とは違う。かつてのように前傾するのではなく、上半身を起こして視線はボールではなく常に前を向いている。これによってドリブル中も相手をしっかりと見て的確かつ効果的なプレーを選択できるようになった。また、ただボールを要求するだけでなく周りの選手たちに積極的に声をかけるようにもなった。

 それでもまだ成長できる。その実感は齋藤自身の頭の中にはっきりと刻まれている。

「僕を警戒してくるチームに対しては、この前のセレッソ戦もちょっとやりかけてできなかったんですけど、いろいろな形を今とろうとしていて、ああやってシフトしてくるからこそまた違うところに穴が空いてくると思う。それでもまた僕は点取れなかったですけど、2アシストということで警戒されると思うので、またいろいろなところを突いていきたい」

 C大阪戦は徹底マークに遭って良さを消されてしまったが、あからさまに自らを警戒してくるチームに対して闇雲にドリブル突破を試みるのではなく、周りと連動しながら崩す形を模索している最中。齋藤にとっての磐田戦は通過点にすぎなかった。

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