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ドルト爆発事件、そのときスタジアムは…。テロの“日常化”で、どこか緩んだ雰囲気に

4月11日、UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝1stレグでモナコをホームに迎えることになっていたドルトムント。だが試合会場に向かう際にチームバスが爆発事故にあい、試合は翌日に延期となった。10㎞ほど離れた場所で事件が起きたと知らされたとき、スタジアムはどのような空気感だったのだろうか。(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)

text by 本田千尋 photo by Getty Images

入場時のボディチェックや手荷物検査はどこか緩みが

ドルトムント
スタジアムでは電光掲示板を使って情報が伝えられた【写真:Getty Images】

 気の緩みがあったのかもしれない。チャンピオンズリーグ準々決勝1stレグのモナコ戦が行われる予定だった4月11日。ドルトムントのホームであるジグナル・イドゥナ・パルク近辺は、いつも通りと言えば、いつも通りだった。

 しかしたとえば、昨年11月にパリで行われたフランス代表戦でテロ事件があった直後に比べると、入場時のボディチェックや手荷物検査は、どこか緩んでいたことも事実である。

 もっとも事件そのものは、スタジアムから約10km程離れた“ホテル”の近辺で起こった。『ビルト』電子版がまとめた情報によれば、19時15分、監督、スタッフ、選手たちを載せたドルトムントの黒いチームバスがホテル『I’Arrivee』を出発。そして100m程進む。ヴィットブラウカー通りに入る。右折する。その直後に、3つの爆薬が爆発したのだ。

 バスの右後方の窓ガラスが割れる。粉々になったガラスが当たって、マルク・バルトラが腕を負傷した。最後尾の列に座っていたスペイン人DFは、病院に運び込まれて、手術を受けることになったのだという。また他には、車両の隊列で同行していたオートバイに乗った警官が1人負傷した。

 スタジアムにいる観客が事故を正確に知ったのは、20時頃のことだ。普段は試合前に選手紹介をするスタジアム・アナウンサーのノルベルト・ディケルが状況を説明した。

「親愛なるBVBの皆様、出発直後のチームバスに重大な事故がありました。現在ここスタジアムにはパニックの元となるようなものは全くありません。私たちは皆様に電光掲示板で常に最新の情報を与えていきます」

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