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Jリーグ 7年前

浦和・西川周作が抱く「数字」へのこだわり。代表正GK奪還へ、レッズで高める存在感

text by 藤江直人 photo by Getty Images

貪欲に追い求める結果と内容の二兎

西川周作
ACLの上海上港戦ではブラジル代表MFオスカルのPKをセーブした西川【写真:Getty Images】

 敵地で苦杯をなめさせられた上海上港を、埼玉スタジアムに迎えた11日のACLグループステージの大一番。後半20分にPKを与えたピンチで、西川はブラジル代表MFオスカルの一撃を右手一本でセーブ。虎の子の1点を守り切るヒーローになり、チームをグループFの首位へ押し上げた。

 そして冒頭でも記したFC東京戦で、公式戦で3試合連続となる完封勝利を達成。リーグ戦では2試合連続となり、試合数と失点数をイーブンに戻した。それでも喜ぶのは一瞬だけ。勝って兜の緒を締めるとばかりに、西川は試合後に「誰一人として内容には満足していない」とこう続けた。

「自分たちは結果を大事にしながらも、結果が出たときには内容も見つめ直すという作業を常にしている。僕自身、常にパーフェクトを目指している。本当に難しいことですけど、終わりのないこの(挑戦の)世界でゴールキーパーはとにかく失点をせず、自分の場合はさらにパスの質にもこだわっていく。

 パスの内容にしても、それこそノーミスくらいの勢いで目指していきたい。毎試合のように反省点というものは出てくるし、課題もたくさんある。そこは自分のなかで改善しながら、成長していければと思う。みんなでいい準備をして、次の試合も無失点で勝てるようにしたいですね」

 FC東京戦の開始早々に、実は大ピンチを迎えている。MF阿部拓馬にペナルティーエリアのなかへ入り込まれ、至近距離から強烈なシュートを放たれたのだ。

「あれはコースがなかったというのもあって、シュートは自分のところに飛んでくると思っていたので。あえて動きませんでした」

 両手でしっかりと弾き飛ばしたセーブを振り返れば、左のゴールポストを叩いた後半5分のMF橋本拳人のミドルシュートには、「あれは(角度的に)入らないと思っていました」と冷静に分析する。

 ただ、シュートにもちこまれた過程や、チームとして追加点を奪えなかった原因など、反省すべき点はそれこそ枚挙にいとまがない。それらを丹念に消化していった先に、2006シーズン以来のJ1制覇を目指すレッズとしても、代表での復権を目指す西川個人としても、大きな果実が待っている。

 リーグ戦の不敗記録を「6」に伸ばし、柏レイソルに敗れたヴィッセルに代わって今シーズンで初めて首位に躍り出たことも単なる通過点にすぎない。結果と内容の二兎を貪欲に追い求めていくレッズの最後尾で、西川の存在感がどんどん大きなっていく。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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